人間は「10分に3回」嘘をつく

科学によると、私たち人間は大嘘つきだという。ある研究から、60パーセントの人々は嘘をつかないと10分間の会話さえ乗り切れないことがわかった。驚くべきことに、嘘をついた参加者は10分間という短時間のうちに平均して3度もの嘘をついていたのだ。
別の研究から、平均的な人は1日に少なくとも1度は嘘をついていることもわかっている。政界や出会い系サービスについては一切触れずに、この結果なのだ。
私たちはなぜ、本当のことを言うのがこんなにも下手なのだろうか。なかにはもちろん、嘘の常習犯や目的を達成するためなら手段を選ばないマキャベリストもいる。しかし私たちのほとんどは「いい人」でいようとして、結果的に嘘をついてしまう。
本当はそう思っていなくても、女性同僚の新しい髪型を素敵だとほめてしまう。ぱっとしない相手からデートに誘われると、急用があるからと嘘をついて断わる。嘘のない会話をしてもぎくしゃくするだけなので、パートナーに満足しているふりをしてしまう。
要するに私たちは、小さな嘘が幸福度を少し高めてくれると思っているのだ。しかし、はたして本当にそうなのだろうか。
最新の研究から「正直さ」は、私たちが思っているよりもずっと大きなプラス効果をもたらしてくれることがわかった。実際は、罪のない嘘をつくことが幸福を遠ざけてしまっているのだ。

シカゴ大学による実験の結果

嘘をつかないことが私たちにどれほどの影響を与えるのかを調べるために、シカゴ大学の研究チームはある実験を行った。研究チームは参加者に嘘を一切つかないように指示し、その後、予想される結果と実際の結果を比較した。
たとえば、あるグループはまったく嘘をつかずに3日間過ごして、その結果を報告するように指示された。また別のグループは、研究室から見つめる科学者の前で、親しい友人と難しいテーマについて率直に語り合うように指示された。
これらの実験から、はたして何がわかったのだろうか。
「人々は、正直さが心地よさや社会的なつながりを減少させると予想していたが、すべての実験を通してみると、実際にはそうした予想は現実と合致していないことがわかった」と、UChicago Newsは伝えている。
率直な会話は予想より楽しいものであり、正直な話を聞いていた人が否定的に応じることは予想より少なかったという。
これは、感謝は私たちが思っているほど照れくさいものではなく、私たちが思っている以上に相手に喜んでもらえることを明らかにした別の研究結果とも符合している。

批判的な意見でも正直さが大事

この結果からわかるのは、それが悪い結果を生む場合もあるにせよ、正直でいること、率直でいることが、本物のつながりを(そして生産的なコラボも)支える基礎になっているということだ。
そして、この本物のつながりこそが、私たちの幸せ全体を支える基礎なのだ。
論文の著者であるエマ・レヴィーンは「私たちはしばしば、人と完全に率直には話したくないと思いがちだ。とかく私たちは、批判的な意見を言ったり、秘密を打ち明けたりすると、自分と相手のあいだに気まずい空気が流れてしまうと思い込みがちだ」と述べている。
だが実際には、正直さは私たちの幸福度を高め、人間関係の親密さを高めてくれるのだ。
「正直であることを避けると、繰り返し訪れてほしいと願うチャンスを逃すことになる。そうしたチャンスは、長い目で見るとありがたく思うものだ」と彼女は付け加えている。
まだ今年の目標を決めていないという人がいたら、もっと正直になることを目指して見てはいかがだろうか。科学が示しているように、意外なほど実りが多く、苦しみの少ない一年を過ごせるはずだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Jessica Stillman/Contributor, Inc.com、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:berkay/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.