シンギュラリティ時代、法律は企業とAIをどう裁くのか
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注目のコメント
終末医療の世界で、患者に対してAIが言う。
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あなたの今後予想される選択肢についてお教えします。
・現在の治療を継続した場合、22.83パーセントの確率で、あなたが現在感じている痛みが継続します。
ただし、54.97パーセントで、病状は悪化。現在処方している鎮痛剤では効果が出なくなり、我慢しなければならない痛みは、現在の約1.57倍となります。
残りは、回復に向かう確率、18.21パーセント。
急激な悪化とともに、死亡する確率は、3.99パーセントです。
・現状維持を最低限とした場合、他の選択肢はありません。
・人間として尊厳を保てるレベルで痛みを抑制するには、強力な麻薬性鎮痛剤の大量投与が必要です。しかし、投与後、二週間は意識を保てますが、その後、急激に混濁し、一ヶ月以内に82.4パーセントの確率で脳死となるでしょう。半年以内の生存率はゼロです。
いかがいたしましょう?
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果たして、AIは法律を守れるものなのか?同じようなことは監査にも言えると思います。
先日、EY新日本が異常仕訳検証に関するアルゴリズムの特許を取ったとリリースしていましたが、今後、例えばニューラルネットワークを利用した監査手法を活用する場合、AIが検証した過程がブラックボックス化してしまう可能性があります。
その場合でも出力結果の吟味が監査人(もしくは利用する専門家)によって必要になると思いますが、それがどこまで可能なのか?そして当該手続で虚偽表示を看過した場合にどのような責任が生じるのか?など、監査基準そのものも整備が必要になると考えられます。
特に、先日金融庁から在り方懇の報告書が出て、株主総会での監査人の意見陳述などについて提案されていましたが、例えば過去の重要な虚偽表示を発見し訂正報告が出たような場面で監査人が株主総会で呼ばれて、「その時のAIの異常仕訳検証には引っかからなかったので、、、」なんて発言をしたら、それこそ信頼が落ちると思います。具体的な導入にあたっての基準との関係を整理することが必要だと思います。
EY新日本リリース
https://www.shinnihon.or.jp/about-us/news-releases/2019/2019-01-18.html
<JICPA 次世代の監査への展望と課題より>
利用する原始的な情報がこれまでと変わらない場合においても、統計ツールによる可視化やAIの導入などにより、これまで監査人が入手していなかった新たな監査証拠を入手する可能性がある。現状の枠組みでは、こういった監査証拠の入手及び評価について、実務に用いるための詳細な取決めがなく、個々の監査人が既存の枠組みの中で実用化に取り組んでいるのが現状であり、近い将来において監査基準の限界として認識されることが想定される。そのため、業界を挙げてこの領域の研究及び監査基準や実務指針への改訂に取り組むことが必要となるであろう。この改訂に際しては、データは飽くまで異常の兆候や項目間の関連性を示唆するものであり、異常の原因や項目間の因果関係を直接的に示すものではないため、安易に結論を導出することがないように、その利用方法を慎重に検討すべきであることへの注意喚起を合わせて行うことは、公認会計士のデータリテラシーの向上の観点から望まれる。