コニカミノルタが個別化医療の「診断」分野で世界トップを狙う理由
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同じくフィルムメーカーの富士フィルムHDが積極的なM&Aによる事業の多角化で、ヘルスケアでは突っ走っているイメージがありますが、この記事ではコニカミノルタのヘルスケアドメインにおけるフォーカス領域や中期ビジョンが富士フィルムHDと比較した形でまとめられています。
記事では医療ITへの投資については触れられていませんが、PACSメーカーの買収、画像診断機器とITの融合による次世代医療ITの展開も進めています。「日本が遅れている最大の理由は公的保険制度。要は病気にかからないと保険がおりません。一方で遺伝子検査はリスク診断が多い。となると予防的な話が多い。でも、米国では医療効果があるとなれば予防にも保険(民間)が適用されます。」
これは少し誤解を生む可能性があるので補足します。遺伝子検査が将来予防医学の分野で有効になる可能性は極めて高いですが、2019年現在、予防医学の分野でその有効性を証明した研究は皆無に近く、臨床応用可能なのはむしろ、病気の診断と治療の領域です。
例えば私の診療する悪性リンパ腫の分野では、従来のゴールドスタンダートであった病理診断に限界があり、この遺伝子検査の結果を下に病型診断することも稀ではありません。
ビジネスとしては良いのでしょうが、ことに遺伝子検査に関しては、データを蓄積しながら研究のcontextの中でやっていただくか、エビデンスの構築を待って活用していただきたいと思います。
そうでなければ、安易な遺伝子検査の広がり、必ずしも治療に結びつかない遺伝子情報は、不平等な雇用、保険の承認、差別、商売などに不適切に転用されるリスクを内包しており、歪んだ社会構造につながる可能性があります。公的保険制度として認識させるべきという点に関しては、信用の高い予防医療を提供するという意味で同意です。しかし、予防医療が経済的負担を緩和するわけではなく、実現はかなりハードル高いと思います。
日本における予防領域は、まだまだ医学的な整備に乏しくビジネスとして非常に参入しやすい分野だと思います。そのため、本当に効果があるのかないのか見定めるのが難しい領域だと思います。
手洗いうがいなど、体に負荷のかからない予防的介入は良いと思いますが、薬を飲むなど体に負担のかかる介入にはエビデンスに則った議論が必要です。
予防のつもりが体を害していたというのでは目も当てられません。