がん闘病 31歳女性社長の自覚
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悪性リンパ腫は、高麗さんがご説明くださるように、全身に600個ほど散在するリンパ節から生じる悪性腫瘍です。私のど真ん中の専門領域の一つなので、少し解説を加えます。
悪性リンパ腫と一口に言っても無数の種類があり、一括りには決してできませんが、仮に進行期でも「根治する」可能性が十分にある病気です。また、多くの治療は入院を必要とせず、通院で可能です。私の患者さんたちも皆、仕事をしながら治療を受けられています。
私はいつも患者さんの身体を地域に例え、「リンパ節というのは身体の中に散らばる交番、リンパ節でがん化してしまったリンパ球という細胞はその交番に常駐する警察官です」とご説明しています。リンパ球という警察官は、細菌やウィルスといった悪い外敵がやってきた時、そこに一目散にかけつけて逮捕したり、まわりの警察官を呼んでくる働きをしてくれています。
がん化は、いわば仕事を放棄して暴動を起こす警察官が次々と増えた状態で、警察官が外敵から守る働きを放棄してしまうため、感染症に弱くなってしまいます。悪性リンパ腫の患者さんの死因の多くは、リンパ腫それ自体ではなく、感染症なのです。
これもよくある誤解なのですが、胃がんや大腸がんといった腫瘍と異なり、悪性リンパ腫は一見進行していないように見えても、実は警察官たちはいつも外に見回りにいって全身を巡っているので、手術でとり切ることができません。すなわち、手術が適応になることはまずなく、治療の基本は化学療法です。
抗がん剤による化学療法は、「寿命を数ヶ月延ばすだけ、副作用が強くて毒」という誤解を持たれがちです。しかし、この悪性リンパ腫に対しては、根治の可能性が十分にある希望なので決して安易に罰しないであげてください。病型にもよりますが、一般に有効率が8割程度と非常に高いのもポイントです。
また、近年では髪の毛の抜けない抗がん剤なども開発されてきており、患者さん個人の価値観にあった選択ができる時代になりつつあります。
米良さんがこのようにご自身の闘病のことを力強く発信してくださることは、多くの同じ病気の治療中の患者さんに勇気を与えてくれると思います。色々な葛藤もあっただろうと想像しますが、このようなメッセージは、多くの方の下に確実に届き、我々も力をもらいます。一医師として心から感謝したいと思います。悪性リンパ腫、リンパ節や脾臓、胸腺・扁桃腺などリンパ組織から主に発生するがんです。
（なお、「がん」は全ての悪性腫瘍を差しますが、「癌」は上皮系、簡単に言うと体外と接する部位の悪性腫瘍、「肉腫」は間質系で筋肉や骨や神経から生じた悪性腫瘍を指します。血液・リンパ関連は腫瘍という塊を呈さないこともあり、分けて白血病・リンパ腫・多発性骨髄腫などに大別されます。胃癌は口や食道と通じて体外と繋がっていることから、「体内」でありながら外界と接する部分であり、上皮系なので「癌」と表記します。）
悪性リンパ腫も多岐に渡り、治療法も異なりますが、一応、手術・化学療法・放射線療法があり、日本人に多い型だと化学療法を受けるものが多いです。外来化学療法ができるレジメン（投薬内容）であることが多いですが、副作用は当然人それぞれです。
医学的な話はさておき、やはりビジネスにおいても闘病においても、人を頼れることというのは強みな気がします。依存してしまうのとは大きく違います。
人とのつながり、時間の使い方・人生の使い方を改めて感じさせられる記事でした。
とても素晴らしい社長さんですね。朝から高麗謙吾さん、そして山田悠史さんの「悪性リンパ腫」の講義で目が覚めました
ご解説、ありがとうございます
悪性リンパ腫は化学療法で十分対処できる「がん」であること、覚えておきます
それにしても創業者やCEOが「病」を公表したら。というか働く人がそれを公表したらそもそもリスクにしかならなんでしょうか？
だからみんな風邪やインフルでも無理して仕事をしたり。タミフル出せ、ゾフルーザ出せと病院で言い出すのではないかと…
病になったときぐらい、堂々と安静出来る。療養に専念出来る。その上で、病を抱えながらでも日常を送り、仕事も出来た方がＱＯＬはよほど上がるはずです。そんな社会の方が良いのですけどね…
そんなことも、記事からの派生で感じました。。
