中国のAI開発を支える人海戦術

2019/1/9

急増する中国の「データ加工会社」

「世界の工場」から脱却し、猛烈な勢いで技術立国を目指す中国。そのなかで最も重要な作業の一部が、北京や深圳から遠く離れた旧セメント工場で進んでいる。
ここは河南省南宮市。工場の中庭には、コンクリートミキサーが放置されているが、工場の内部に昔の面影はない。20人ほどの若者がコンピューターの前に座り、黙々と写真や動画にタグ付けをしているのだ。これはクルマ、あれは信号機、パン、ミルク、チョコレート、歩行者……。
24歳の侯夏夢(ホウ・シアメン)が経営するこの会社は、人工知能(AI)が世界を理解する助けをしている。「昔は、コンピューターは天才だと思っていたけど、いまは私たち人間がいてこそだとわかった」
実際、現在の中国では、人件費の安い田舎町でスタートアップがどんどん誕生し、膨大な量の写真や監視動画にタグを付けている。ある専門家が言うように、中国がデータ業界のサウジアラビアだとすれば、こうした会社はデータの製油所だ。未加工のデータに意味を与えて、中国が「AI大国」になるための燃料に変えている。