【若林秀樹】ポスト平成の「電機業界」は超再編が起こる

2019/1/6

平成時代はFlat Growthだった

平成時代はまさに、日本経済にとっても、日本のエレクトロニクス業界にとっても、「Flat Growth(平らかな成長)」の時代であった。エレクトロニクス業界はゼロ成長どころか、右肩下がりだった。
総合電機5社のうち、日立は1兆円損失の後、回復。東芝は資産切り売り。NECや富士通も、事業売却で命脈を保っているが、成長には遠い。
家電では三洋がパナソニックの子会社となり消滅。シャープは財政危機に陥り、鴻海精密工業(台湾)の傘下入りで再生。財務危機のパイオニアはついにファンド傘下となった。
パナソニックは、松下通信工業や九州松下電器、パナソニック電工などを統合したが、最高益は更新できなかった。
CMOSセンサーで2018年3月期、20年ぶりに最高益を更新したソニーも10年近く苦境だった。
半導体では、日立、NEC、三菱電機から出たDRAM事業のエルピーダメモリが2012年に経営破綻。他も成長を享受できていない。
半導体産業では、平成の始まりに、日本勢が世界ベスト10の上位を占め、世界シェアは50%近かった。だが、今は10%以下だ。
日立、東芝、パナソニック、ソニー、エプソンを連合した、液晶の「ジャパンディスプレイ」も経営危機が続く。
平成時代の大手電機メーカーの営業利益推移はフラットに近い。キヤノンなど精密機器は変わって、1990年代半ばから躍進したが、リーマンショック後は停滞している。