ビジネスリーダーや起業家に贈る、今年の読書リスト

ほとんどのCEOは、1カ月に4~5冊の本を読むと言われている。かなりの読書家だ。
あなたの場合、あまり多くの時間を読書に割くことはできないかもしれないが、2019年の「必読書」に加えるべき魅力的なビジネス書を何冊か見つけることには興味があることだろう。
2019年を迎えた今、本の世界に飛び込んで、新しいスキルを学んだり、インスピレーションを探したりする絶好の機会だ。
それでは、ビジネスリーダーや起業家が今年読むべき本をいくつか紹介しよう。
1.『Lost and Flounder』ランド・フィッシュキン著
テクノロジー系スタートアップCEOの生活を新たな視点からのぞくことができる。といっても、ユニコーンや虹、ガムドロップの話ばかりではない。
スタートアップの世界で成功のために戦うことの実際が、赤裸々に語られている。フィッシュキンの助言は理にかなっており、事業規模や業界に関係なく、あらゆるビジネスに応用できるだろう。
2.『プライシング戦略:利益最大化のための指針』トーマス・T・ネイゲル 他著(邦訳:ピアソン・エデュケーション)
目を引くタイトルではないかもしれないが、起業家であれば、価格設定や収益性についてもっと詳しく知りたいはずだ。
価格設定の戦略は、コストを賄う方法を考えるだけではない。この本を読めば、戦略的に価格を設定し、価値認識にプラスの影響を与え、需要を変化させる方法がわかる。
3.『クリエイティブ・スイッチ:企画力を解き放つ天才の習慣』アレン・ガネット著(邦訳:早川書房)
多くの人は「自分は創造的な人間だ」とは思っていない。しかしアレン・ガネットによれば、創造性とは特別なものではなく、条件さえそろえば誰でも創造的になれるという。「創造性のカーブ」の法則を習得し、それに従って行動すれば、創造性を身につけることができる。
ガネットは創造性について詳しく研究し、人生の中で創造性を発揮するための具体的な助言を提供している。「創造性のカーブ」を実践するクリエーターたちの実例も、絶妙に織り交ぜてある。
4.『Principals: Life and Work』レイ・ダリオ著
世界有数の投資会社の内情が記されている。筆者はこの本を読み、透明性と誠実性の追求が重要であることに気づいた。ダリオによれば、透明性と誠実性を高めることで、自己表現と他者への理解も高まるという。
筆者はとくに、反復的な意思決定、目標達成に対するダリオのアプローチを高く評価している。ビジネスと人生全般に関する新しい良書を探している人は、ぜひこの本を手に取ってほしい。
5.『リーダーが覚えるコーチングメソッド──7つの質問でチームが劇的に進化する』マイケル・バンゲイ・スタニエ著(邦訳:パンローリング)
筆者がこれまでに読んだコーチング本の中でも、とくに実用的な1冊だと思う。「7つの質問」モデルを用いて問題の本質に迫るという手法を提案している。詳細な研究によって裏打ちされた質問ばかりであり、実例も素晴らしい。
大局的な見方、高レベルな戦略。チームメンバーに対して、やるべきことを質問したり教えたりする代わりに、効果的な質問を投げ掛けることで、望ましい習慣を形成すること。筆者にとっては、これらすべてが参考になった。
6.『Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup』ジョン・カレイルー著
エンロンのスキャンダルと『裸の王様』を融合したような1冊だ。シリコンバレーの嫌な部分がとても面白くまとめられている。セラノス(画期的な血液検査を謳って巨額の投資を集めたが、2018年6月に創業者らが詐欺罪で起訴されたスタートアップ)の物語が展開するにつれ、不信感と怒りが募っていくはずだ。
この本を読めば、スタートアップの世界がどれほど閉鎖的であるかがわかる。とくに印象深いのは、スタートアップの世界が強烈な恐怖感、つまりチャンスを逃すかもしれないという恐怖に包まれていることだ。
7.『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く』パティ・マッコード著(邦訳:光文社)
おそらく筆者が読んだ中でも、組織文化と人材管理に関する最高の一冊だ。Netflixの文化と従業員の士気を高める方法を洞察的に伝えている。
マッコードによれば、従業員の士気が最も高まるのは、成功に貢献していると感じられたときだという。もちろん報酬も重要だが、人々が職場に来るのは自分自身より大きな何かに貢献したいためだ。
人事を成功に導くための「過激」なレシピとは、従業員を大人として扱い、まっすぐ向き合い、課題や方向性を共有し、けっして監視したりしないことだ。監視を厳しくするほど、従業員の士気は下がる。
8.『マーケティングは「嘘」を語れ!:顧客の心をつかむストーリーテリングの極意』セス・ゴーディン著(邦訳:ダイヤモンド社)
筆者は、ゴーディンの大ファンだ。筆者の会社コ・スケジュール(CoSchedule)で働く人は全員、ゴーディンの『「新しい働き方」ができる人の時代』(邦訳:三笠書房)を読むことを義務づけられている。
『マーケティングは「嘘」を語れ!』は、ゴーディンの歴史と思考の集大成とも言える1冊だ。これまでの著書で紹介された戦術や物語の背後にある壮大な概念が記されている。
ゴーディンはこの本の中で、現在考えていることの要旨を示し、マーケティングの世界にいまだはびこる前提や古い枠組みに挑戦している。マーケティングの仕事に関わっている人の必読書として推薦したい。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Garrett Moon、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:robertsrob/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.