デジタルメディアは今後いかに生き延びるか
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米国のメディア業界は本当に厳しい。特に新興メディアは記事にある通り軒並み苦戦している。その中で元気があるのはNYTとヘゾスがオーナーになったWashington Postとまだ創業10年のPolticoの3社。今、我々も米国で人材を取りあう時も大体この3社。
NYTはコンテンツ力が圧倒的。Deep Dive系の長文記事も強い。有料会員の獲得はemailが主力であり、テクノロジー面は特段目新しい事をしている訳ではない。ひたすら紙からデジタルにフォーカスして（当たり前の事をちゃんとやって）コンテンツ力で他を圧倒しているという印象。
Washington Postは一気にデジタルシフトを進めて息を吹き返して来て、その勢いに乗り今、最も投資を積極化させている印象がある(人材を採用するためのオファー金額も凄い！僕には採算度外視の投資にしか見えないけどこれもヘゾスの財布だからこそなせる技？) Arcという独自開発したコンテンツ投稿プラットフォームを他のメディアへも外販し、それがビジネスの柱として育って来ているのがユニークな点。元々コンテンツにエッジがあり、しっかりとした読者がついているところにテクノロジーパワーでポテンシャルを引き出した好例。
最後のPolticoは新興メディアの中で唯一元気がある。この5年で売上を倍増させている。ユニークな点はPoltico Proという政策情報を提供するB2Bサービスで、これが売上の半分以上を占める。CとBをバランス良くビジネスモデルに組み込んだ好例。
恐らく、今年一気に新興メディアを中心に淘汰が進み一部の勝組と多くに負け組に分かれる。一方でこれまで分散していたブランド広告は勝組みに需要が集中するので、広告で収益を上げる事は以前よりも楽になるはず。何がしたい、が明確でなく暇つぶしで、かつ長いコンテンツ消費向きではないタイミングのソーシャルユーザーに相性の良いのは感動モノのようにシェアされやすいコンテンツや見出しの強力な釣り気味のコンテンツ、速報性の高いニュースコンテンツ。従来ここにアドテクの人ベースマネタイズがうまく噛み合ってマネタイズできていた。時代を遡ればSEOに最適化していたdemand mediaは一世代前に一世を風靡し消えていった例。
アドテクはメディアとユーザーのエンゲージメントより、そのユーザーが誰なのかを重要視するため、PVの質より量が得する時代だった。
時代は変わり、ソーシャルの恩恵を受けていたメディアとしては以下要因で逆風に。
・ソーシャル側のアルゴリズム変更でトラフィックが激減
・ユーザーのスマホシフトによるスキマ時間接触増加により長めの良質なコンテンツはソーシャルから敬遠される傾向に
・GDPRやcookie規制、アドブロックで人ベースのアドテクの弱体化
・そもそもFacebookは若い人見なくなってきてる。インスタはよりイメージ消費なので記事型コンテンツメディアとは相性悪い
さてどうすれば？というと簡単な道はなく、王道は「ファンを増やせているか」。
ユーザーがファンになり、何かしたい時、ある気分な時、毎日決まった時間に第一想起なポジションを得られるか。
newspicksの連載はそうだけど、コンテンツ企画にエンゲージして、結果としてメディアのファンになる。
その他考えるべき点は
・継続接点はどうするか。アプリはインストールハードル高い。メール回帰？エンゲージしつつSEO？LINE？日本だとtwitter？
・フォーマットはどうするか。スキマ時間でエンゲージするには記事はどうしてと不利。動画か？
・マネタイズはどうするか。
・広告を直接売る純稿回帰は進むか。数ではなく質と深さで広告主に指名されるメディアへ。
・いわゆるアドだけがマネタイズポイントではない。イベント協賛や企業メディアへの制作受託など様々な試みが必要
プラットフォームONLYな時代でもなく、プラットフォーム依存では勝てず、でも広告主は質の良い消費者との接触を望んでいる中で、どんな勝ちメディアが出てくるのか楽しみだし、応援していきたいです。アメリカのデジタルメディアというよりは、トラフィックをソーシャルに依存したソーシャルメディアの現状。トラフィックをソーシャルプラットフォームに依存したメディアはビジネスとして脆弱だよね。やはりユーザーとのエンゲージメント出来てるメディアじゃないと。
