【赤井厚雄】デジタライゼーションが変える“金融”の近未来
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注目のコメント
金融業界にとっての脅威は、同業ではなく、テクノロジージャイアンツ。アマゾンやグーグル、アリババ、テンセントなどの強みはデジタル技術の活用とともに、データ活用のノウハウがあることですね。IT巨人でもデータ活用のノウハウがないところは金融機関にとって脅威とはならないでしょう。
Fintechの一番貢献するポイントは、金融の民主化だと思う。
だから、先進国より新興国のほうが受ける恩恵は大きい。金融的なインフラが整っていないからだ。
例えば、21世紀に入ったつい最近まで戸籍制度が整っていなかった。そのため、戸籍がない人たちは銀行口座が作れなかった。つまり日雇いでないまともな仕事につくことすらできない人たちが大勢いたのだ。スマフォとFinTechがそれを変えた。スマフォがあればそこに口座ができる。給与もそこに直接振り込むことができる。戸籍を必要とした銀行がいらなくなったのだ。
これこそまさに、インフラが整っていないからこそ起きたリープフロッグ的なイノベーションだ。Fintechで世界を席巻するプレイヤーは、先進国ではなく、新興国にある。新興国こそGAFAを越えるイノベーションの中心になる。デジタル化の進展によって急激に金融ビジネスのカタチが変わるなかにあっても、既存金融機関の金融ビジネスにおける知見や専門性、ブランド等は過小評価されるべきでない戦略資産であり、新興勢力に対する優位性だと考えています。
一方、規制業態として過度に硬直化してしまった思考プロセスや制度、人材戦略、事業運営サイクル等に加え、カニバリ対象となる既存事業の存在等は、そもそものデジタル化のトレンドを適切に取り込めない阻害要因となり、前述の優位性を消し去ってしまうように思います。
既存事業体にデジタル化トレンドを取り込むのが難しいのであれば、事業体を分けたり、外部新興勢力と戦略的に連携したりなど、従来組織の枠組みにとらわれない動きが如何に取れるかが既存金融機関にとって生き残りのカギになると考えています。