【2019年】AIはどのような進化を遂げるのか、3つのレベルで予想

2019/1/1

日常生活のかなりの部分が自動化

2018年は、来る日も来る日もAIに関する報道にあふれた年だった。さて、2019年はAIにとってどんな1年になるのだろうか。せっかくの年初なので、そんな予想をまとめてみた。
いくつかのレベルに分けて説明しよう。
まず、わかりやすいものから見ていくと、自然言語認識や自然言語生成、ボット、AIアシスタントの類がある。
スマホに話しかけたり、カスタマーサービスがボットだったり、家の中ではアレクサやグーグルホームなどのAIアシスタントのお世話になっているようなことが、これからはもっとどんどん進むはずだ。
ひょっとしたら、電車の切符を券売機とおしゃべりしながら買うことになったり、銀行口座から振り込みをするのが電話口に出てくれる会話型ボットを介したり、ということも起こるかもしれない。
オンラインショッピングもボットに言いつけて済ませる、といったことができたらどうだろう。
今はチマチマと自分で入力していることが、頼りになるAIがやってくれるようになり、生活のかなりの部分が自動化されるということの意味が本当に感じられることだろう。

効率化だけでなく価値創出できるか

もう少し高いレベルでは、次のようなことが起こる。
まず、何にでもAIが搭載されるようになる。今はスマホやホームアシスタントにしか搭載されていないAIが、カメラや食洗機、ピアノ、スポーツ製品、マットレスなどに搭載されるといったことが起こるだろう。
そうした場合のAIは必ずしもおしゃべりするわけではなく、身体の疲れに合わせてマットレスの硬さを変えたり、お皿の汚れ具合を認識して洗浄力を調整したりするような陰で動いてくれるAIだ。
そうなればモノのデザインも変わってくる。スイッチがなくなったり、表面と裏面の違いがなくなったりする。今まで操作するということを前提にしてきたデザインが、まったく異なった次元へ進む。そんなことの兆候が2019年には現れるかもしれない。
ビジネス面では、特定の目的に特化したAIや効率化だけでなく価値を生むようなAIの利用方法が出てくる。企業は「利便性だけではない何か」を考える力が試されることになる。
また、AIがブロックチェーン、クラウド、IoTなどと統合してより深く広くAIの波及力が及ぶようになるが、説明可能なAIを求める声も高まる。これまでAIがなぜそんな決定や判断をしたのかはブラックボックスで見えなかったのだが、それを「見える化」し、人間とコミュニケーションができるようになる。
それと歩調を同じくして、AIに対する倫理のあり方が問われるようになり、政策面や規制面での動きも出てくるはずだ。AIの危険性やバイアスが叫ばれた2018年から、2019年は一歩進んで、具体的に対処する方向へ舵が取られるだろう。

ニューラルネットワーク間の相互互換性

そしてさらに専門的に見れば、こんな動きが出てくるだろうと予想されている。
ひとつは、AIがエッジ化すること。クラウド上ではなく、もっとデバイスに近いところでAIが働くようになるのでレスポンスも速くなる。
もうひとつは、ニューラルネットワーク間の相互互換性だ。
現在までのところ、テンサーフローやコグニティブツールキットなどそれぞれのニューラルネットワークで訓練されたモデルがそのフレームワークから出ることがなかった。
だが、これからはよりオープンになり、あるところで訓練されたAIが別のニューラルネットでも使えるようになったりする。それによって、AIの受容度がますます上がると期待されている。
AIのことなので、上記だけに限らず予想外のびっくりするような進歩も見られるかもしれない。今年もまた、AIにとって面白い1年が待っている。
*本連載は毎週火曜日に掲載予定です。
(文:瀧口範子、写真:© 2018 Amazon.com, Inc.)