【土屋尚史】デザインとビジネスの越境人材がさらに増える

2019/1/1
今、会社経営に「デザイン」の思考や思想を取り込む組織作りに注目が集まっている。その本質とは何か。また、今後ビジネスとデザインの関係はどうなるのか。
UI/UXデザインを強みとして新規事業立ち上げやデザイン戦略立案を行うグッドパッチ代表の土屋尚史氏に聞いた。

UXという考え方が一般化された

──デザインやUI・UXのビジネスにおける役割は、近年どのように変わってきていると見ていますか。
UI・UXという言葉も、2011年に私が起業した当時は、アカデミックやごく一部のデザイナーかいわいでは使われていましたが、日本全体ではほとんど聞かれない言葉でした。
それがスマートフォンの普及によって大きく変わり、存在感が一気に高まった印象があります。
スマホ以前にも、「ユーザーエクスペリエンスデザイン」というキーワードは存在していました。しかし、それまではデジタルにおけるユーザー体験は基本的にパソコンに限られていました。
ところが、どこにでも持ち運べるスマホの登場で、デジタルの利用シーンは一気に多様化します。常にコンピューターを持ち歩く状況とも言え、デジタルのユーザー体験の生活における重要度やタッチポイントの量が各段に高まりました。このスマホを起点としたユーザー体験から、UIやUXという考えが様々な分野に広がっていったと言えます。