(日銀レビュー)地域銀行の中期経営計画の特徴点 : 日本銀行 Bank of Japan
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地域銀行の中計を、前期、当期で比較し、そこからどのような傾向があるか、ということをレビューした日銀の所見です。
いくつか気になった点を。
・前期中計において掲げていたコア業純目標は殆どが未達であった。現中計ではコア業純ではなく、当期純利益を目標指標に変えている先が目立っている。安定的なコア業純の確保が困難な金利環境下で、少しでも株主へのコミットを高めるために、有価証券の売買や信用コストコントロールなどで目標達成をコントロールしやすい当期純利益が指標に選ばれているように考えられる。
・預金の伸びはおよそ計画通りだが、貸出の伸びは計画比では少なかった。また、計画達成した先でも「貸出約定平均金利の変化を個別に確認したところ、その低下幅は業態平均を上回る先が多くなっている。つまり、前中計期間中に想定よりボリュームを拡大した先で、必ずしも、貸出金利息収入が増加しているわけではない。」
・現中計の貸出では、ミドルリスク向け融資がキーワードとなっている。
・金利環境が悪い中で、経費削減などの経営の効率化やRPAなどをキーワードとしていたり、役務取引等収入の底上げを図ろうという計画が目立つ。特に後者は、コンサルティング、ライフステージに合わせた提案、創業支援などが重要なキーワードであり、そのためにも従業員の強化および従業員満足度の向上への言及も見られる。
結局は、かつてのように預金と貸出の鞘を抜いていればある程度儲かっていた時代でもないし、信用リスクが低い先には資金需要がなく金利競争となっている中で、地銀として限られた策は、ミドルリスク貸出、コンサルティング機能も合わせた貸出、有価証券の運用高度化、経費の削減に絞られ、どこに選択と集中をするかにかかっているのでしょう。