[ワシントン 24日 ロイター] - トランプ米大統領は24日、自国経済が抱える「唯一の問題」は連邦準備理事会(FRB)との認識を示した。このところの株価下落を受け、ムニューシン財務長官は市場急落を阻止するチームを招集し、金融当局者による電話協議を行ったが、市場に安心感が広がるには至らなかった。

短縮取引となったこの日の米株市場は続落。景気減速や政府機関閉鎖、トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任を検討したとの報道などを巡る懸念が重しとなった。

主要3指数が2%超下落して取引を終えたほか、原油相場も6%強下落して1年超ぶり安値に沈んだ。

トランプ大統領はツイッターで「米経済にとって唯一の問題はFRBだ。彼らは市場に対する感覚がない」とし、FRBを「腕力はあるが、パットのセンスが欠けていてスコアの上がらないゴルファーのようだ」と批判。貿易戦争や強いドル、壁を巡る政府機関閉鎖について理解していないと指摘した。

関係筋によると、市場急落阻止チームの電話協議で、金融規制当局と財務省の幹部は、最近の売り局面で金融市場に異常は見られなかったと指摘。一部政府機関が閉鎖する中、重要な運営をいかにして続けるかについても話し合ったという。

米財務省の発表によると、ムニューシン長官は23日に大手米銀トップと電話協議を行い、銀行に貸し出しに充てる潤沢な流動性があることを確認した。

TDアメリトレードの首席市場ストラテジストは「ムニューシン氏の意図は非常に評価できるが、『市場が知らない、より大きな問題が存在するのか』という疑問が広がったのだろう」と話した。

下院金融委員会の民主党トップ、マキシン・ウォーターズ議員はトランプ大統領とムニューシン長官の行動における「一貫性のなさが、市場の不確実性と不安定さを生み出している」と指摘した。

株式市場では、大統領がパウエルFRB議長解任の可能性を非公式に議論したとの報道を受け、動向が注目されている。大統領がFRB介入を公の場で示唆するだけで、FRBの政治からの独立を前提としてきた金融市場には不安が広がる。

ムニューシン財務長官は22日、大統領がFRB議長の解任を示唆したことはないと自身に伝えたと明らかにしたが、実際に大統領が議長を解任できるかどうか不透明な点が、市場の不安を増幅させている。

ジョージ・ワシントン大学のサラ・ビンダー教授(政治科学)はトランプ大統領がパウエル議長を解任できる可能性を指摘する。FRB関連法は「正当な理由」がある場合に限り、理事会メンバーの解任が可能と定めている。

ただ、ビンダ―教授は、議会が1977年にこの法律を修正した際にFRB議長職の解任に「正当な理由」が必要かどうかに言及していなかったことから、トランプ大統領による議長解任が合法である可能性があるとみている。

*内容を追加しました。

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