【高橋和夫】鍵を握るイラン。アメリカ、サウジの危ういチキンゲーム

2019/1/4
イランは中東のみならず、世界情勢を大局的に理解する上で重要な国の1つだ。特に、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアといった2019年も国際情勢のカギとなる国々は、イランをめぐって様々な思惑を交錯させている。中東情勢に詳しい国際政治学者、高橋和夫放送大学名誉教授・一般社団法人先端技術安全保障研究所会長が分析した。中東情勢の理解するための基本知識については、高橋氏がインタビューに応じたNewsPicksオリジナル記事「【超入門】これだけは知っておきたい、中東ニュース5つのポイント。」を参考にして欲しい。

イランを襲った「水」と「油」の二重苦

アメリカの核合意からの一方的離脱、さらにワシントンによる経済制裁の再開など2018年は、イランのイスラム体制にとっては厳しい1年だった。
制裁の影響を受けて、外貨の稼ぎ頭である石油の輸出量は、日量にして100万バレル低下した。そしてイランの通貨リアルの対ドル交換レートが大幅に低下した。それが輸入物価の上昇に跳ね返り、厳しいインフレが庶民生活を襲っている。