日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?
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半導体にプラズマ・液晶、有機ELと日本のエレクトロニクス市場でのコアデバイスは同じような道筋をたどってきました。技術開発段階までは良くとも、まずかったのが事業化戦略。フラッシュメモリー含め、残念ながらサムスンなどの方が戦略上手でした。
思えば、1980年代に高い競争力を誇った DRAMでは国内電機各社がこぞって大規模投資を行い共倒れ。液晶でもシャープが頑張ったにもかかわらず、「液晶の次は液晶」とほぼ思考停止状態で大枚を突っ込み自爆に至る。有機ELもソニーが先行していたはずが、残念ながら大型ディスプレーを商業化するだけの余力がありませんでした。
こうしたデバイスとは裏腹に日本の半導体製造装置メーカーが高い国際競争力を持ち、逞しく生き残っているのは驚きです。やはり半導体のグローバル市場の先行きを冷徹に見据えて的確な手を打ってきたからでしょう。その証拠にサムスンでさえ自前の半導体製造装置では手こずっていますから。
日本の半導体が沈んだというのがこの記事の主旨ですが、iPhoneでもエクスペリアでも他のスマホでも、今やカメラのCMOSセンサーで世界をリードするのはソニー。また電力関係のパワエレを支えるSiC半導体の市場は決して大きくないとはいえ、三菱電機や村田製作所、富士電機などがしっかり頑張っています。
かつて日本メーカーの攻勢でインテルがDRAMからCPUに転進して大成功を収めたほか、アイダホ州でポテトチップならぬメモリーチップに賭け、日本のエルピーダまで買収したマイクロン、ゲーム用のグラフィックスチップからスパコンのGPGPU、AIチップへと着実にステップアップを遂げたエヌビディア、モバイル時代の到来で天下を取ったクアルコムと自ら市場を作り出していく米国勢はやはり先見の明がある。さらにアップルの半導体を支えるTSMCと、半導体トップはそれぞれに抜群の強みを持っています。
日本の半導体産業としても高い参入障壁を巡らせながら差別化で行くべきでしょう。新分野としてはレガシー技術を転用できるIoTセンサーか、新型メモリーか。先端分野では、富士通や日立のように複雑な最適組み合わせ問題を解く量子プロセスをデジタル回路に置き換えたプロセッサーや、ムーアの法則の限界の先を行くスピントロニクスデバイスも期待できるところ。日本の半導体はむしろ、これからが正念場と言えます。半導体というより、DRAM。逆に、30年前になかった、NANDフラッシュやCMOSセンサーでは、大健闘。
DRAMがダメになったのは。①油断、②日米半導体協定や摩擦、その結果、FMVで1メガが12ドル以上で推移、参入過多、③CF経営で設備投資しなかった、④システムLSIやFPDシフトでリソース減、⑤インターフェイスが、JEDECで標準化、⑥技術がSPEに流れた、などなど。Samsungが完全な悪者になっていますが、筆者の言う「窃盗まがい」の事をSamsungが出来た根本的な原因は、技術者(技術)の価値を分かっていなかった東芝にもあると思うけど。
東芝は技術者をリストラ。
Samsungは日本の技術者に対して、一時的な例があったとしても、日本企業以上の対価を払っただけ。
SamsungへNAND型フラッシュメモリーの技術供与を判断したのは東芝。それ自体の良否は分かりませんが、当時の状況では正しいのかもしれません。その後、Samsungの大規模投資に追随せず、大きく出遅れた。投資の判断が出来なかったのは、Samsungとは関係なく、東芝の経営判断に依るもの。