【落合陽一×乙武洋匡】身体をアップデートせよ

2018/12/14
12月12日のWEEKLY OCHIAIは「身体のアップデート」。乙武洋匡さんをゲストにお迎えし、身体をテクノロジーでどのように拡張できるか議論しました。
視聴はこちら(タップで動画ルームに移動します)。

身体をテクノロジーでどう拡張するか

「選択肢として、車椅子よりも義足にしていくべきだというプロジェクトではない。」(乙武)
落合陽一さんと「xDiversity」プロジェクトにて、ロボット義足を開発している乙武洋匡さん。
健常者にとっては、義足は失われた機能を取り戻す、または足を補うイメージがあるが、自身のプロジェクトへの想いは異なるという。
乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)。1976年生まれ。大学在学中に出版した「五体不満足」がベストセラーに。スポーツライターを経た後、教育委員会や教員として教育分野に携わる。ゴミ拾いNPO法人立ち上げや政策研究大学院大学で公共政策を学ぶなど幅広く活動。
元々足がなく、歩いていた経験もないため、義足は回復ではなく「新たな獲得」である。
また、車椅子よりも二足歩行が優れているとは思わない。
しかし、二足歩行を想定して構築された社会に適応していくために、義足という選択肢が加わる方が使い勝手がいい場面もあると語る。
出所:Instagram @ototake_official

着脱可能な身体があったら便利

「他の方法があれば足なんて飾り。着脱可能な身体があったら、それはそれで便利。」(落合)
標準化された身体に合わせた社会は、経済成長期には効率的であったが、疎外も生んできた。
そうしたバリアが多い社会を、テクノロジーで改善できるという落合さん。
この日の「UPDATE MEETING」は、身体をテクノロジーでどのように拡張できるか議論した。

デジタル技術で代替身体をどう作るか

「病気で10年間一歩も自宅から出ていない方が10年ぶりに仕事。」(乙武)
乙武さんが身体の拡張で現在注目しているのは、「OriHime」ロボット。
カメラとマイクが内蔵されていて、会話も可能であり、自分の分身として遠隔操作を行える。
重度障害者が、OriHimeを遠隔操作し接客を行うカフェは、テクノロジーを利用し、マイノリティーの可能性を広げている例だと指摘する。
出所:オリィ研究所プレスリリース
OriHimeのような、テレプレゼンスは一つの社会参加形態だという落合さん。
会議にテレプレゼンスロボットがいると、自由な新しい意見が生まれる事例もある。
ロボットの社会需要が増えていく中、ロボットが人間を代替することに抵抗がなくなると理想的で、人口減少社会には良い。
また、研究としては、テレプレゼンスロボットのアクチュエーション(動作)や機能の多様性を重視していると語る。
落合陽一(おちあい・よういち)。1987年東京都生まれ。筑波大学 准教授・学長補佐 デジタルネイチャーグループ主宰。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。

身体の必要性は変わっていくのか

「主たる体験に対して、ハードウェアの形も多様になる。」(落合)
テクノロジーの進化に伴い、身体が必要な場面は減っていく。
落合さんは、人によって異なる体験価値を一つの基準で捉えないことが大切だという。
握手した体験が欲しいから腕付きのロボット。身体の形や機能に捉われず、多様な体験にどうテクノロジーを合わせていくかが鍵だ。

固定観念を疑うことが未来につながる

「身体の形と機能に縛られない。」(落合)
ロボット義足で身体拡張という選択が出来る時代に、選ぶのか。
意思のない肉体よりも肉体のない意思
身体機能を他人とシェアするロボット。
日頃から慣れ親しんだ「身体」を見つめ直す議論を、ぜひ本編にてご視聴ください。
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次回は「幸福のアップデート」

12月19日は、予防医学者の石川善樹さんをゲストにお迎えします。
テーマは「幸福」。
成熟社会における幸福の新たな定義と、日本がロールモデルとして果たすべき役割とは。
新たな幸福の価値観としての「日本的Well-Being」を考えます。
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<執筆:潘嘉敏、デザイン:片山亜弥>