周期性とランダム性が共存する 新しい原子構造を発見
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注目のコメント
年末にすごいの出てきましたね。10大サイエンスニュースにぜひ加えたいです。
原子カラムがSTEMでバッチリ撮影されており、幾原先生に流石などという言葉を使うのは恐れ多いのですが、驚きに満ちた画像です。こんな構造が存在したとは!
iPhoneの待ち受けにします。
以下像の見方など。
一般的に、電子顕微鏡で原子1粒をクリアに観察するのは電子密度不足のため非常に困難です。
金属のように規則的な原子配列を有する試料の場合、電子ビームの入射方向(観察方向)と原子の配列方向が平行になるように試料角度などを調整し、複数の原子が並んだ「原子カラム」を電子ビームが通り抜けるようにして原子位置のコントラストを強めて撮影します。(金属の原子配列が映った電顕像を見たことがある方もいらっしゃると思いますが、そのような手法で撮影されたものが多いです)
ところがアモルファスの場合は、試料をどう傾けても電子ビームと平行な原子カラムが存在しないので、モヤモヤしたものしか映りません。
プレスリリースPDFの7ページ図3の白い輝点は、そこに原子が一粒あるのではなく、観察方向(電子ビーム入射方向)と平行に、すなわち画面の奥行き方向に一直線に原子が並んでいることを意味します。二次元配列が不規則なのに入射(観察)方向には原子カラムが見えるほど規則性があるというのは確かに驚くべき構造です。いきなりこんな視野が現れたら僕悲鳴上げます。
金属に限らず、物質の界面構造は、力学・電子物性などを考える上で大事な情報を持っていて、金属の接合、半導体の動作、果てはリチウムイオンバッテリーのLiと正負極材の相互作用など、マクロな物性と繋がっています。
顕微鏡屋さんは普段あまり表に出て来ませんが、界面の構造理解を通じて技術発展に寄与しています。こういうタイミングでぜひご注目ください。
なお本記事で活用されているSTEMとは走査型透過電子顕微鏡の略で、細く絞った電子ビームで、(薄くスライスした)試料表面をスキャンし、透過してきた電子を検出し画像化する手法です。透過した電子のうち、散乱した電子を検出するのがHAADFです。重い元素ほど大きく散乱されるので明るく映ります。
荒い説明ですがご参考に。
>Yamazakiさん
確かに長い名前です。
カッコイイ呼び名を付けて欲しいですね。こう、ラテン語とか使って。