[ワシントン 7日 ロイター] - 米労働省が発表した11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が15万5000人増と前月の23万7000人(改定)から鈍化し、市場予想の20万人増を下回った。時間当たり平均賃金の伸びは前月比0.2%と前月の0.1%(改定)から拡大したものの、予想の0.3%に届かなかった。

今回の統計は米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが鈍化するとの見方を裏付ける可能性がある。

キャピタル・エコノミクス(トロント)の主任エコノミスト、ポール・アシュワース氏は「雇用の伸びは依然として底堅く、経済成長が緩やかながら潜在率へ後戻りしていることを示している」と分析した。

ドイツ銀行セキュリティーズの外為調査部門幹部、アラン・ラスキン氏は「統計はトレンドから幾分鈍化したことを示すが、サイクル中の現時点で不健全と言うには程遠い状態」と指摘。「12月の利上げはなお可能だが、その後はより慎重な姿勢を示す可能性がある」と見通した。

9月・10月分を合わせた雇用者数の伸びは1万2000人下方修正された。失業率は3.7%と約49年ぶりの低水準を維持した。雇用の伸びが鈍化した背景には、気温が例年よりも低かったことや有資格労働者の不足、一部企業のレイオフなどがあるとみられる。

こうした中、賃金の伸びは前年比で3.1%と前月記録した9年半ぶりの高水準に並んだ。平均週間労働時間は34.4時間と、前月の34.5時間からわずかながら縮小した。

CMEグループのFEDウオッチによると、雇用統計を受け短期金利先物市場が織り込む来年の利上げ回数は1回となっている。1カ月前の回数は2回だった。今月の利上げは引き続き既定路線となっている。

労働参加率は62.9%。現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は7.6%と、前月の7.4%から上昇した。

過去3カ月間の毎月の雇用の伸びは平均で17万人。労働人口の増加に対応するためには毎月10万人前後の雇用増が必要とされているが、この水準を引き続き大幅に上回っている。

雇用の内訳では、小売りが1万8200人増。感謝祭セールの前倒しが後押しとなった。運輸・倉庫は季節要因で2万5400人増。一方、建設は5000人増と8カ月ぶりの低水準にとどまった。気温が例年よりも低かったことが影響した。製造業は2万7000人増。政府関連は6000人減。

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