治安悪化で、ブラジルは銃社会へと逆戻りするか

2018/12/9

一般市民が射撃訓練場に殺到

グロックにするか、タウルスにするか──。オルテガ夫妻の目下の悩みは、この一点に尽きる。
10月末のブラジル大統領選決選投票で、ジャイル・ボルソナロ下院議員が当選を確実にすると、オルテガ夫妻はサンパウロの射撃場の訓練コースに申し込んだ。ボルソナロは元陸軍大尉の極右政治家で、強力な犯罪対策を公約に掲げてきた。
ここ数年、ブラジルは政治経済の混乱が深まる一方で、凶悪犯罪が急増していた。そんな現状に怒りと不安を募らせた国民にとって、銃規制を大幅に緩和し、自衛のための銃所有を推進するというボルソナロの公約は、とりわけ魅力的に感じられた。