[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が5日発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)の伸びは予想以上に鈍化した。賃金の伸び悩みを背景に個人消費が低迷した。

期待外れの発表を受けて利上げ観測が後退し、外為市場では豪ドルが対米ドル<AUD=D4>で下落した。

第3・四半期GDPの前期比伸び率は0.3%で、エコノミスト予想の0.6%を下回り、第2・四半期の0.9%から伸びが鈍化した。

前年比では2.8%増の1兆8000億豪ドル(1兆3200億米ドル)。予想は3.3%増だった。

第2・四半期の前年比伸び率は当初発表の3.4%から3%に下方改定された。

豪準備銀行(中央銀行)は今年と来年の成長率を3.5%前後と予想しており、今回のデータは中銀にとっても期待外れといえそうだ。

JPモルガンの上級エコノミスト、トム・ケネディ氏は「中銀の予想は今やかなり楽観的にみえる」と指摘。「消費支出が若干減速している。消費者が裁量支出に回せる余地が多くない。賃金の伸びは低水準で、家計貯蓄率もかなり低い」と述べ、もはや住宅価格も消費の支援要因ではないとの見方を示した。

豪ドルの対米ドル相場は0.7355米ドルから0.7295米ドルまで下落した。直近は0.4%安の0.7310米ドル。

個人消費の伸びは0.2%にとどまり、第2・四半期の0.7%を大きく下回った。

住宅ローン残高が過去最高水準となる中、シドニーとメルボルンで住宅価格が下げ止まらないことから個人資産が縮小し、消費を圧迫した。

賃金の伸び鈍化が長引いていることも世帯所得に影響を与えている。

GDP統計では、新規採用が増えているものの、賃金は増加していないことが示された。第3・四半期の賃金の伸びは0.2%にとどまった。

こうした景気の軟調は豪中銀の懸念要因で、今週中銀が金利を据え置いた理由のひとつでもある。

さらに、長引く米中貿易摩擦も中銀の懸念要因となっている。

中銀は今年と来年の成長率を引き続き3.5%と見込んでいるものの、近い将来の利上げは示唆していない。先物市場<0#FF:>が織り込む来年末までの利上げの確率はわずか30%となっている。

*内容を追加しました。