【迫真】ゴーンを刺した「腹心」ブルータス西川廣人の素顔

2018/11/29
カルロス・ゴーンに反旗を翻した西川廣人とは何者か。ルノー日産誕生前の旧日産時代から、40年以上にわたり自動車業界を取材するベテランジャーナリストの佃義夫氏が、日産社長就任後もあまり表に出てこない西川の「素顔」を紹介する。
「ゴーンショック」。まさにこの言葉で凝縮される突然の事態は、日本ばかりか世界を駆け巡った。
2018年11月19日の午後、朝日新聞が「ゴーン日産会長逮捕へ」の号外を流したのが第一報だった。
東京地検特捜部は、その日の夕刻に羽田空港にビジネスジェット機で着いたカルロス・ゴーン容疑者と、同乗していた日産代表取締役(当時)のグレッグ・ケリー容疑者を金融商品取引法違反容疑で逮捕した。
ゴーン逮捕を受けて、日産はその夜、直ちに西川廣人(さいかわ・ひろと)代表取締役社長CEOが、単独で記者会見を行うという用意周到さを示した。
【衝撃】日産ゴーン逮捕。これは「クーデター」だったのか?
カルロス・ゴーンと言えば、経営破綻寸前にあった日産をV字回復で再建させた、日産の「救世主」だ。
仏ルノーと日産のアライアンス連合を成功させ、かつ三菱自動車を傘下に収めて「ルノー・日産・三菱自」という異例の3社国際連合の司令官となり、世界的にも「名経営者」として知名度は高かった。
それだけの人物が突然、逮捕されたことは驚きだったが、日産の内部通報からの東京地検の特捜調査ということもあり、日産の対応も早かった。
西川社長はゴーンの不正行為について、こう断言した。
「断じて容認できる内容ではない。専門家からも重大な不正行為であると認められ、代表権と会長職を解くことを私が提案する。同時に、共同謀議したケリーの代表権も解く」
ゴーン長期政権の弊害を強調した日産の西川社長(写真:池田光史)
記者会見でゴーン不正の事案について淡々と語っていた西川社長が、言葉のはしばしに「ゴーンへの反逆」を明示したことには驚かされた。
西川社長は、1999年に仏ルノーから日産再建のために送り込まれてV字回復を果たし、以来19年間に及んだ「ゴーン日産」から、敢然と別れる宣言をしたことになる。
だが、これまでの西川社長とゴーンの近しい関係を考えれば、「よくそこまで言えるな」と受け止めた関係者も少なくない。
「ゴーン・チルドレン」の最右翼
それというのも、西川社長は長らく「ゴーン・チルドレン」の1人と言われてきた人物。
ゴーン日産という長期政権にあって、ゴーンその人に抜擢され、ゴーンの信任を高めてきた最たる男なのである。