年末ジャンボは確率的に損なのに、なぜ人は買ってしまうのか
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宝くじが売れるのは、「錯覚」と「夢を買う」が理由
年末ジャンボが売り出され、今年も人気のようです。宝くじは、確率や期待値を考えたら損な投資ですが、大変人気があります。その理由について考えてみると、一つは非合理的な錯覚ですが、今ひとつは合理的な「夢を買う」ということだと思われます。
錯覚の方は、人間が極めて小さな確率で起きる事を実際の確率より高く感じる、という事でしょう。飛行機に乗るのが怖い、という心理ですね。
「確率100万分の1で死ぬ仕事」は嫌ですよね。「確率1万分の1で死ぬ仕事」は、それより100倍嫌だというわけでもありませんね。まして、「確率5%で死ぬ仕事と5.01%で死ぬ仕事」があったら、誤差の範囲と感じますよね。それが普通の人間なのだそうです。
したがって、宝くじが当たるのは非常に低い確率であるにもかかわらず、人々は「もしかしたら自分も当たるかも知れない」と錯覚して宝くじを買う、というわけですね。人々が保険に加入する理由の一つも、錯覚なのでしょうね。自宅が火事になったり自分が死んだりする可能性は実際には非常に小さいのですが、実際よりは高い確率で起きるような気がして保険に加入する、というわけですね。
ただ、「宝くじを買うのは錯覚だから買うべきではない」とは言えません。買えば、当たる可能性が出てくるので、「当たれ」と念じることが出来ます。オリンピックで日本選手を応援するのと同様に、自分の宝くじ券を応援するのです。これは、日本選手を応援するのと同じくらい楽しい事のはずです。
加えて、夢を見ることが出来ます。当たったら何をしようかと考えるだけで、幸せな気分になれます。買わなければ当たりませんから、応援することも夢を見ることもできません。たった数百円で楽しめるのですから、効率的な金の使い方と言えるかも知れません。もちろん、実際に当たれば大金が手に入りますし。
保険も同様ですね。加入することで、「家が焼けたらどうしよう」「自分が死んだら妻子が路頭に迷うのでは」といった不安から解放され、実際に事故が起きた時には助かるのですから、合理的だと言えるでしょう。
余談ですが、じつは保険と宝くじは似ています。大勢から少額の資金を集め、全部を選ばれた1人に支払う、というものだからです。宝くじは運の良い人に、保険は運の悪い人に支払われる、という違いはありますが。数学的には、完全に詐欺商品が"宝くじ"です。期待値50%はありえない。でも、収益金39%は真面目に使われているわけです。
https://www.takarakuji-official.jp/about/proceeds/top.html
要するに、税金なのてす。買ってる方は税金を他の人より多く払ってる事になります。
"エライ!"経済学の観点から、「夢を買う」という事の意味はある程度考察されています。
宝くじの当選の分布はあまりにも偏っています。その為、通常の期待値や標準偏差以外に、通常なら無視出来る「歪度」と呼ばれる3次のモーメントの影響も考慮する必要が出てきます。この歪度が通常では損に見える宝くじを買う意味を持たせる事になります。
実はこの事実はファイナンスの教科書にも載っています。気になった方、証明を追いたい方は読んでみてはいかがでしょうか?
「コーポレートファイナンスの考え方」
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9-%E5%8F%A4%E5%B7%9D-%E6%B5%A9%E4%B8%80/dp/4502472905
追記
保険を買うのはリスクプレミアムを支払う為と私は考えています。この概念は二次のモーメントに対する概念なので、宝くじとは買う理由が若干異なります。
金融工学や経済学からのアプローチでした。