【三菱重工CFO×朝倉祐介】MRJを支える「お金の意識改革」
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会社の規模が大きくなり、事業の複雑性が増すに連れて、ファイナンス的な発想の重要性は増します。これが三菱重工のように売上4兆円、従業員8万人を超える伝統的大企業のメーカーともなれば、ファイナンス的な観点からのマネジメントが極めて重要であることを、小口CFOのお話を伺って改めて感じました。
これだけの大組織で個別最適に陥ると、ムダも莫大なものになることでしょう。工場中心の経営から中央集権型の体制に移されたということをさらりとお話になっていましたが、これは「口にするは易し」で、実践は生半可な難しさではなかったものと想像します。
この点、変革を実現する際には、小さな成功体験、Quick Winを演出することが重要だと言う話をよく耳にしますが、予め自社のBS状況を鑑みてキャッシュフローが改善できるという勝ち筋が見えていたというエピソードは、経営改革のお手本のような話ですね。
記事中では「ゲーム」や「ルール」と表現なさっていますが、単にキャッシュフローの重要さを号令するのではなく、社員の方々の意識が向くような環境づくりをなさったという点が非常に印象に残りました。単に号令をかけるだけでは、何も変わりませんからね。
この点、人を動かそうと思うならば、その人自身に働きかけるのではなく、その人を取り巻く環境に働きかけることこそが重要であるという点を再認識した次第です。必見のインタビュー。
製造業で工場を運営するリアリズムと、ビジネスで成功させる似て非なるものをどうやって改革したか。
コーポレートファイナンスを学ぶと、PLではなくCFの重要性を学ぶ。一方で、現場として分かりやすいのは売上や利益というPL科目。CFを重視せよと頭ごなしにいっても、共感や仕組みがなければ上手くいかない。
おそらく記事に書かれている以上のリアルが裏にはあったのだろうと思う。というのは、三菱重工は事業所・事業部が強い会社として有名だった(日立も工場が強かった)。
各事業である程度独立独歩運営できていたのを、本社が格付けしてお金を配賦するという風に変えるのは、反発も伴う極めて大きな変化なわけで。
キャッシュ創出からはじめて結果がでて、2年目も意気込んで、という話がある。それはストーリーの「表面」で、表面は必要なのだが、リアルは裏面も含めてどう対処するか。いつかそこらへんのリアルが語られることも期待したい(それがほかの会社でやっていくためのキーでもあるし)。
三菱重工について、MRJや客船など、事業レベルでの課題は多い。
一方で、コングロにおける本社機能の強さや投資家への向き合い方、また過去からの変化という点で三菱重工ほど日本で変化している企業はないと思う。
顕在化する前の2014年くらいからPicksでいいはじめ(①)、顕在化した後もコーポレートとしてのアカウンタビリティを果たそうとしている点をコメントした(②)。
本記事でも、格付けが高い事業は負債比率を高められるという点も挙げているが、これは内部市場がある証左。
あわせて、本社機能と事業経営は両輪。本社機能がこれだけしっかり回っている中でも、個々の事業では課題はでてくるのが現実。事業で課題が出てきたときのコーポレートの向き合い方のバランス(本来的には客船とかMRJはPM人財を早くに投入できればよかったのにという思いは本社でもあるだろう)も、ぜひ聞きたい点。
①https://newspicks.com/news/664996
②https://newspicks.com/news/3009467シニフィアン共同代表の朝倉祐介さんと三菱重工の小口正範CFOの対談をお届けします。
NewsPicksでは、新興の成長企業が出てくることがよくありますが、この記事では、三菱重工という「成熟企業」にスポットを当てました。
三菱重工は、子会社である三菱航空機が民間旅客機「MRJ」を開発しています。製品化までがすごく長い、一種の社内ベンチャーです。すでに巨額の先行赤字を出していますが、MRJ開発を進められる背景には、小口CFOが仕切る「知られざる財務戦略」がありました。
リーマン・ショック前後に、三菱重工のフリーキャッシュフローがマイナスでかなり〝やばい状況〟だったことは知りませんでした。
明日(木)は、後編をお届けします。