【木崎伸也】カンボジアで見えた、日本サッカーの可能性

2018/11/17
世界最大のスポーツであるサッカー。欧州で活躍する日本人選手は増えているが、ビジネス面では日本の存在感はまだ薄い。しかし今、ワールドサッカーを舞台に日本の挑戦が始まっている。第2回目は、本田圭佑監督率いるカンボジア代表チームでビデオアナリストを務める筆者が、東南アジアのサッカー熱を現地からレポートする。

本田圭佑からのオファー

ときにサッカー熱の異常な高まりは、常軌を逸した行動を引き起こすことがある。
11月8日、スズキカップ(東南アジアサッカー選手権)の開幕戦、カンボジア対マレーシア(0対1)が終わった直後のことだ。
決定機でシュートを外してしまったカンボジアのFWに対して、SNS上で批判が噴出し、ついにはその選手の母親への誹謗中傷まで書き込まれ始めたのだ。
そのFWは攻守にわたってピッチを走り回って誰よりも仲間たちを助けていたのだが、一つのミスだけが拡散されて戦犯にされてしまった。
(写真:AP/アフロ)
自分だけならいざしらず、母親まで誹謗中傷の対象になったら我慢できない。その選手は翌日、代表からの引退をチームに申し出た。