【独白】日本には、1兆円企業を生む「知の蓄積」が足りない

2018/11/20
ネット印刷サービス「ラクスル」から、物流マッチングサービス「ハコベル」へ──。
印刷業界に始まり、物流、そして最近ではテレビ広告業界へと参入領域を拡大させているラクスル。特に、「物流クライシス」が叫ばれるよりも以前から業界に目をつけ、“物流版Uber”とも呼べるサービスを開始していたことは特筆に値する。
2017年7月には、業界最大手ヤマトホールディングスとの電撃提携にこぎつけた。なぜ彼らは、次々と社会的にインパクトのある業界の非効率性を、先んじて見つけ出すことができるのか。
NewsPicks編集部は、鍵を握る松本恭攝CEOの、社会課題の「発見力」に注目。彼の情報収集法から分析手法、そして新規参入の意思決定プロセスについて、徹底的に聞く。
「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」というビジョンを掲げるラクスルが、印刷、物流の「次」にプラットフォーム展開を狙う市場はどこになるか。
松本CEOの「考え方」に迫ることで、そのヒントを探った(全2回)。
*前編

プラットフォームにとって大事なこと

印刷業界でマッチングプラットフォームをやってみて、学んだことがあるんです。それは、印刷会社と「利益の取り合いをしちゃいけない」ということ。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、プラットフォーマーというのは、いったんどこかの業界でシェアを握ると、「交渉力」を持つようになります。
ピーター・ティールが「タテに独占しろ、タテだ」といったのも、要はそういう理由ですよね。