産油国 原油価格の高値維持で減産も 米イラン制裁受け会合
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11/10放送の朝日放送制作のニュース情報番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』において、評論家の宮崎哲弥氏が「原油価格が高止まりしている」とコメントされていたが、この1カ月の原油価格は下落し続けている。
2017年に始まったOPEC等による協調減産によって過剰だった原油在庫は調整され、2018年も引き続き原油価格は上昇を続け、この2年で1.5倍に以上にもなった。10月上旬には76ドル/バレルを越えたが、そこから急落し、現在では59ドルまで下落している。これは2017年末の水準になる。
この原因としては、サウジ、ロシア、米国の3大産油国の増産など、供給面の要因もあるが、最大の潮目は原油需要の見通しが弱気に転じた事にある。10月ごろに、IEAやOPEC等の原油需要見通しが軒並み下方修正されている。2014年に始まった原油価格の下落も、IEAによる需要見通しの下方修正がキッカケだった。イラン制裁は殆ど影響していない。
需要減少の要因は、インドやインドネシアなどの新興国需要の伸び悩みと言われているが、最大の懸念材料はやはり中国。現時点では輸入量は減っていないが、米中貿易摩擦の影響もあり、自動車販売は7-9月の3ヶ月連続で前年を割り込み、不動産価格の下落現象も観測される。一方でインフレの懸念もあり、公式には2.5%だが、民間統計では15%を越えているという数字もある。金融緩和もやり辛い状況だ。
参考
https://on.wsj.com/2PVWHvG
より俯瞰すれば、2014年の下落は2011-2014年の100ドル越え3年間に需要が耐えられなくなったとみなせ、今回の下落は瞬間的な70ドルに耐えられなかったとも言える。
確かに日本のガソリン価格は147円/Lと、10月上旬の150円越えからは一服しているものの、「下落」を感じる程でもなく、宮崎氏の感覚はいた仕方ないかも知れない。
しかし、原油市場はいまや需要減少懸念に支配されつつある。現時点では米国のシェールオイル掘削リグカウントは微増を続けているが、2017年のように50ドル以下を推移すれば減少に転じることもあり得る。世界経済はますます中国次第となっている。