株式会社ユーザベースは、2018年11月9日に2018年第3四半期の決算説明会を開催しました。当日の様子をほぼ全文採録でレポートいたします。
連結業績ハイライト
梅田優祐(代表取締役社長(共同経営者)、以下梅田):
皆さまおはようございます。今日はまず私から、今回の業績についてお話しさせていただき、その後Q&Aに移らせていただければと思います。
まず最初に、今回、業績予想の上方修正を発表いたしました。
大きく2点ございまして、1点目は、10月にNewsPicks USA社の出資持分をダウ・ジョーンズ社から取得し、完全子会社化いたしました
NewsPicks USAの株式価値が設立当時より上がっておりましたので、それにより特別利益(注:支配獲得までの取得原価と支配獲得日の時価との差額を段階取得に係る損益として計上するもの)が発生いたしまして、当期利益が増えております。この完全子会社化の一番の目的は、Quartz社とNewsPicks USA社を一体運営させて、米国市場を一気に攻めていくというところにございます。
2点目は、前回の業績予想を出した際は、Quartz社の買収タイミングでした。不確実性もございましたので、業績予想をレンジで出しておりましたが、買収して2ヶ月一緒にやってきた中で確度の高い数字が見えてきましたので、今回、レンジではなく一定の数字として発表いたしました。
私たちが投資家の皆さまとコミュニケーションさせていただく上で、業績予想は非常に大切な数字だと考えております。ですので決算発表のタイミングでは、どの数字だったらお約束できるかということを、現場の感覚も含めてしっかりと念入りに議論をした上で発表しております。
グラフにも記載しておりますが、当初のレンジのちょうど真ん中辺りの売上高90億円、EBITDA10億円。この数字であれば一定確度をもって達成可能との感覚を持てましたので、上方修正を発表させていただいております。社内では、当然更にもう少し上で着地していこうと進めております。
それでは、全社の連結業績についてご説明していきます。SPEEDA、NewsPicksともに、今期も順調な売上と利益を達成しております。
次に、事業ごとの売上構成比のご説明になります。
まずは主力事業のSPEEDA、NewsPicksともに順調に成長しておりまして、今四半期から黒い部分のQuartzが乗ってきておりますが、このQuartzがなかったとしても、56%の売上成長率になっております。2017年第3四半期の売上成長率が46%でしたので、規模が拡大しているにもかかわらず、着実に成長スピードを上げられております。
さらに今四半期からオレンジの部分、新規サービスのentrepediaとFORCASを加えております。両者ともBtoBのSaaSビジネスでして、しっかり目に見える形で、業績に貢献し始めてきております。Quartzは8月と9月の2ヶ月分の売上高でございますが、それらを合わせますと、グループ全体で70%を超える成長になっております。
利益面でいきますと、まずSPEEDAとNewsPicks、主力の2事業がしっかり収益を伸ばしています。
(一番左のグラフを指して)NewsPicksも、3年前は赤字でした。それが2年前から収益貢献し、その収益の幅が伸びてきております。SPEEDAは我々の事業の中で最初に収益貢献して来た事業であり、現在グループの稼ぎ頭になっております。
このSPEEDA、NewsPicksの二本柱が収益を生み、その収益を使って未来へ投資しています。未来の投資というのがQuartzと、新規サービスであるFORCASとentrepediaであるということをご理解いただければと思います。
これをもう少しブレイクダウンしたものが、こちらの図となります。
まず全く投資をしない場合、2017年第3四半期のEBITDA 4.9億円に、SPEEDAとNewsPicksの成長で伸びた部分を含めまして、当第3四半期累計期間で8億円以上の収益を生む実力を持っております。
そこにNewsPicksで実験的な広告を実施しましたので、一時的なものとして1.2億円投資しております。さらに、Quartzと新規サービス(entrepedia、FORCAS)への投資である1.6億円、3億円を追加しまして、2018年第3四半期の着地EBITDAが2.6億円になっています。
次に、業績予想に対する進捗についてご報告いたします。
まず今期予想の売上高90億円についてご説明します。この第3四半期からQuartzの売上高が2ヶ月分乗ってきておりまして、全体としては60%の進捗率となっております。第4四半期にはQuartzの売上が全額乗ってきますので、それを踏まえると、90億円はお約束できる数字だと考えております。
次は利益、EBITDAのご説明になります。今回修正発表した10億円に対して進捗率が 27%と、進捗率だけ見ると少しご心配になるような数字に見えるかもしれません。しかしこれは、我々の社内計画としては順調に推移しております。
一番大きな理由として、Quartzは広告が収益の柱になっておりまして、広告ビジネスというのはどうしても第4四半期に偏重して売上が計上されます。広告ビジネスでは受注が先に来てその後、コンテンツが出稿されてはじめて売上が計上されます。そのため受注状況が売上の先行指標となるのですが、現状、既に年内の売上に必要な受注はほぼ終えているという状況です。あとは受注した案件をしっかり出稿すれば、お約束した数字まで達成できると見通しは立っております。
最後のリスクとしては、受注した案件を本当に出稿し切れるのかどうかがリスクとして挙げられます。ですがQuartzでの過去の実績でしたり、私自身がNewsPicksで広告ビジネスをやってきた経験などを踏まえても、どれだけずれたとしても数パーセント以内に収まると見ています。そのようなリスクも考慮して、10億円のEBITDAはお約束できる水準であると考えております。
SPEEDA事業
それでは事業別のスライドも、私からポイントをお伝えさせていただきます。
まずSPEEDA事業から。SPEEDAの最重要KPIは契約ID数となりますが、2,428IDとなり、順調に計画通り進捗しております。
導入社数も1,100社を突破したことを発表いたしました
売上高も、FORCAS、entrepediaというBtoBのSaaS新規サービスも合わせますと前年比で37%と、しっかり成長率を上げてきております。
利益面でありますが、新規サービスへの投資を除いたSPEEDAだけでいきますと、EBITDA率は20%を超える水準になってきております。SPEEDAの正常収益率は30%とお伝えさせていただいておりますので、着実にそこに近づいてきております。SPEEDAの原資をもとに、未来に向けてFORCAS、entrepediaという新規サービスへの投資をしていますので、SPEEDA事業全体では第3四半期累計期間のEBITDAは3.9億円となっています。
NewsPicks事業
次に、NewsPicks事業についてご説明いたします。
NewsPicksの重要KPIは有料会員数になりますが、8万人を超えて、順調に成長しております。年内の目標を10万人とお伝えさせていただいておりましたが、現在のペースですと、10万人にいくかいかないか、という状況でございます。
ただ一方で、NewsPicksアカデミアやゼミなどの新しい取り組みで単価は上ってきておりますので、売上高は計画以上に伸びてきています。例年、最後の第4四半期が最も会員数が増える期間になりますので、そこで少しでも目標である10万人に近づけていきたいと考えております。
売上につきましては昨年と比べて、93%の成長を実現いたしました。これは広告も有料会員も増えてきており、だいたい1:1の非常にバランスの取れた収益構造となっております。
そこに新たな収益源として、コンテンツ販売が上がってきています。我々はコンテンツを自社で作るということに力を入れてきておりますが、それを外部へも販売しております。そのようなオリジナルコンテンツから生まれる収益が、着実に売上に貢献し始めております。
利益に関しましては、前年比で81%の成長を実現しております。EBITDA率は若干下がっていますが、これは第2四半期の決算説明会でお伝えさせていただきました通り、一時的な広告費を使いましたので、それが主な要因となっております。
こちらが最後のスライドとなります。
Quartz社の買収が7月末に完了して8月から当社グループへの統合を進めておりますが、新戦略の発表を11月13日にニューヨークで行う予定です。Quartzが今後何をしていくのかですとか、NewsPicks USA社を完全子会社化して、Quartz社とどう運営を一体化させてサービスを提供していくのかというご説明をさせていただければと思っております。そこで具体的なサービスやコンテンツについてもお見せできるかと思います。
最後に1点強調したいのは、今回、我々はスピードを何よりも重視し、意思決定をしているということです。
7月末にQuartzを買収完了し、3ヶ月とちょっとで新戦略を発表できる。それぐらい、NewsPicks USAとQuartzの社内は完全に一体化され、モチベーションも非常に高い状態で、新しい未来を見ることができていると思っております。
今後のQuartzに関しては、この11月13日の新戦略発表後、 来年が初めて1年フルで業績に寄与してまいりますので、どういう状況かというのは、随時決算の場で説明させていただきたいと思っております。
以上が私からのご説明になります。
質問1:NewsPicks米国事業の売上・コストについて
司会:
それでは質疑応答に移ります。ご質問のある方は挙手にてお願いいたします。
質問者1:
米国のNewsPicksの来期の考え方について、2点お伺いできればと思っております。
1点目は、米国の来期トップラインの考え方なんですけれども、Quartzについては、広告収入は今期のままとなり、ユーザーの有料課金は上乗せされていくのか。それとも国内のようなバランスを目指すために、広告を抑制される可能性もあるのかについてお伺いできればと思います。
2点目は、米国のコスト面についてです。今年Quartzののれん償却費なども乗っているとは思いますが、NewsPicks USAと一緒になることは、今後USAの方の広告宣伝費を積み増していかれる可能性があるのか。すでにQuartzの2,000万人ユーザーにリーチできるポテンシャルがあると思いますので、統合効果でしたり、来期や新しく投資されるところも含めてコスト面が今年よりも増えていくイメージになるのか。それとも別の考え方があるのか、この辺りについてご見解を伺えればと思います。よろしくお願いします。
梅田:
ご質問ありがとうございます。米国の来期の事業計画はまさに最終の詰めをしている段階でございますので、この場で具体的なことをお伝えするのは時期尚早かなと思っております。ただ、大きな方針といたしましては、来年が一番の勝負だと思っておりますので、しっかりまず投資をいたします。しっかり投資をして、事業を垂直立ち上げしていくということを、方針としては掲げております。
5年前に国内のNewsPicksを始めたときも、大きな赤字を一度出しまして、最終的には3年で黒字化させてまいりました。今は非常に似た感覚を持っておりまして、まずは事業立ち上げのために、しっかり投資をする。しっかり投資をして事業を作って、3年後の黒字化を目指していくことを、大きな方針として掲げております。事業計画が固まってきましたら、次回の決算説明会では、もう少し具体的な説明ができるかなと思っております。
質問者1:
かしこまりました。売上の広告とか、有料課金のバランスについても、また今後のご説明等を待ってという方がよろしいでしょうか?
梅田:
そうですね。将来的には今NewsPicksで実現しているような広告と有料課金が1:1というのは、メディア事業として理想的な事業の収益構成でありますので、長い目ではこの比率を目指していきます。ただ、国内のNewsPicksもここにたどり着くまで、まず広告の売上がメインとなってスタートし、有料課金が徐々に徐々に積みあがってきて、5年目でやっと1対1になってきた、という状況です。
米国も同じ段階を経ると思っておりますが、Quartzはすでに広告ビジネスが強く立ち上がっていますので、立ち上げで苦労していた国内のNewsPicksとは違うスピードを出せると思います。次は有料課金をしっかり積み上げていくことで、売上比率が将来的に1:1となることを目指して行きたいと考えております。
質問者1:
ありがとうございました。
質問2:NewsPicks USAとQuartzの一体経営について
質問者2:
3点ほどお伺いいたします 。
1つ目がNewsPicks USAを完全子会社化し、今回Quartz社と一体運営をされていくということでした。この一体運営の目的はよく理解できるのですが、 ダウ・ジョーンズズさんと組んだ、もともとの目的があったと思います。その目的に対して、ダウ・ジョーンズから離れることによって、社内的にどういう影響があるか。そこのメリットと課題をどのように捉えて分析されているかというのを少しご解説いただければ、非常に理解しやすいかなと思います。
2つ目が、Quartz社の広告の売上が第4四半期偏重になるということでした。買収後、今回が初めてということもあって、別に信用していないわけじゃないのですが(笑)、第4四半期をどれくらいを見込んでいらっしゃって、去年の第3四半期と第4四半期がどれくらいだったかわかると、より安心して見れるかと思いますので、もし可能であればお願いします。
3つ目は、Quartzの役員とスタッフの雇用形態というのはどうなっているのかというところです。こういうインタジブル(無形資産)な会社を買収するケースというのは、今までも日本のインターネット業界で、楽天さんやDeNAさんなどもやって来られていますが、2〜3年経つと内部の人たちが入れ替わり、コアコピタンスな人材が本当に残ってるのかどうかわからなくなるという部分があります。Quartzに関してもやはり、今いるスタッフ、役員さんが継続してコミットし続けられるのかどうか、その辺りをどういうふうに考えておられるかをお聞きしたいです。
梅田:
承知しました。ご質問ありがとうございます。
まず、1点目のダウ・ジョーンズから出資持分を取得し、Quartzと一体運営するメリット・デメリットでございますね。
もともとNewsPicksを米国に進出させる上で、ダウ・ジョーンズと合弁でやろうと思ったところは、大きくはプロピッカーへのアクセスと、あとコンテンツ面ではThe Wall Street Journal、Barron’s、MarketWatchなどのビジネス系コンテンツでナンバー1のブランドを持っており、そのコンテンツをNewsPicksに配信できるという2つが、大きな目的でございました。
あともう1つは、人材ですね。ダウ・ジョーンズから人を派遣し、米国のメディア業界に根付いた人材が運営する体制をつくる。この3つが、大きなポイントでした。
まずコンテンツの面に関しましては、今回、資本提携の解消後もコンテンツの配信は継続されますので、ここはデメリットにはなりません。
人材の派遣に関しては、最初ダウ・ジョーンズ社から派遣された社長でやっていたのですが、途中で社長を交代し、新たに外部から社長(Ian Myers)を採用しまして、現在は彼が運営をしております。彼はQuartz社の統合後もそのまま運営を担っていきますので、ここもデメリットとしては考えておりません。
プロピッカーに関しましては、13日にも発表できるかと思うのですが、新しいプロピッカーを増やしていく予定です。この結果を見ていただけると、現状ではメリットの方が大きいと思っております。
ただ、やはり最大のメリットというのは、一体運営をすることによって自分たちで全てを意思決定し、最高速のスピードが出せるということです。一体運営にすることで、とにかく意思決定をシンプルにし、スピードを優先する体制を構築できたのは、何より大きかったと思っております。
2点目のご質問に関しましては、昨年の数字がすぐ手元にはございません。申し訳ございません。
ただ広告ビジネスについては、国内のNewsPicksでやってきておりますので、特性をよく理解しております。最初にまず受注が来まして、そこからコンテンツを作ったり、掲載の準備をしたりいたします。そして掲載された後、ようやく売上として計上されるという形です。
ですので売上に先行するものとして、受注というものがございます。Quartz内でこれはBook(申し込み)と呼んでいるのですが、Bookがいくらになっているかで、だいたいの売上高が3ヶ月後ぐらいまで予想できるようになっております。今の時点のBook状況を見るとかなり堅い売上が見えるようになっておりますので、それを基に、今回の業績予想を出しております。あえてレンジで出していた売上高、利益から、今回一定の数字を出したというのは、ここに確実性があるという我々の自信の表れだと思っていただければと思います。
国内のNewsPicksの広告事業は、Quartzほど第4四半期偏重ではございませんが、米国のQuartzはより、その傾向が強くなっております。来期も見ていただく上では、Quartzの広告事業は第4四半期に乗ってくるという見方をしていただけるといいかと思っております。
最後、3点目のご質問ですね。ご指摘の通り、特にメディアビジネスというのはピープルビジネスでして、どういう人材で会社が運営されているかが、非常に重要でございます。ですのでQuartz買収にあたって、我々もそこを一番重視いたしました。おそらく皆さまの頭の中でも、日本のインターネット企業による海外企業の買収は失敗してきているという認識があると思いますので、ユーザベースも大丈夫か?というところがあるのかなと思っております。
その観点から行きますと、これまでの海外企業の買収と一番大きな違うところは、買収を目的としてスタートしたものではないというところでございます。
銀行やアドバイザリーから紹介されたり、オークション形式で買収したりしたものではありません。もともとはNewsPicks USAがオリジナルコンテンツをやっていく上で、日本でいう佐々木紀彦(取締役 Chief Contents Officer/前編集長)のような編集長が必要だと考えたことからスタートしています。
米国でもトップの編集体制をつくるため、ヘッドハントしたい編集長の名前をリストアップして、私がコンタクトしていました。その中でQuartzの編集長・編集部というのは非常に評判が高く、まさにNewsPicksが日本でやってきたことを米国でやってきたような編集の人材が揃っているところだったんですね。当初は買収するというよりも、編集長、ニュースルーム全体で移籍してもらうということを目的にコンタクトしていました。
ですので買収目的ではなく、まず中身から入ってきているというところが、何より大きい違いです。まずはいろいろな事業提携の方法を双方で検討していく中で、最終的に統合してしまった方がお互いにとって良いじゃないかと、事業提携の延長線上に買収が来ているのが、一番大きな違いかなと思います。
買収後にいろいろなサプライズが出てくるのが、失敗してしまう大きな1つのサインかなと思うのですが、このように買収前に非常に現場レベルでのコミュニケーションをしていたので、買収後のサプライズは1個もありませんでした。
この一番の証拠として、買収して3ヶ月で新戦略を発表できるというのを、象徴的と見ていただければと思います。
プロダクトも、よく3ヶ月でこれだけ作り上げたなと思っていただけるものをお見せできる自信がありますし、広告一本足打法だったQuartzのビジネスが、3ヶ月で明確に違う方向に向いているということを感じていただけると思っております。
もちろん役員やキーパーソンは、報酬面やインセンティブ面で、しっかり長い期間コミットメントしてもらえるような仕組みは当然入れております。それでもやはり無理矢理働いても良い成果は出ないところがありますので、最終的には、このメディア業界に米国で新しい変革を起こしていくためのビジョンを共有できているかできていないかということが、何より大切かなと思っています。
その共有が深いレベルでできていると確信できたので、今回の買収に踏み切ったというところがございます。ここが一致している限りは、経営陣含めてメンバーを変えずにやっていきたいと思います。やっていく中で不一致があることがわかりましたら、そこは躊躇なく伝えていくことは当然やっていきますが、現時点では、そのようなリスクは見えていないと思っています。
質問者3:
ありがとうございます。
質問3:SPEEDAの成長戦略、およびNewsPicksの課金と広告、米国の見通しについて
質問者3:
大きく4つお伺いしたいと思います。
まず1点目が、前回稲垣様から、SPEEDA事業の今後の成長加速に向けてコンサル的な要素が入ることによって、解約率の低下なり加速を期待したいというお話があったと思います。こういった施策の進捗状況についてお伺いしたいのが1点目でございます。
2点目が、NewsPicks事業の課金と広告についてです。従前からの経営陣の方のメッセージでは、課金をもっと加速していきたいということだと認識をしております。今後、足元は順調ではあるんですけれども、さらにその成長を加速させるためにやっていくこと、そしてその見通しについてお伺いしたいです。
そして広告について見ると、ユーザー数なりページビューの伸びに応じて伸びていくという理解でいいのか、それとも動画等、いろいろ新しいNewsPicksの伝え方とか求人分野ですとかテクノロジーの進化によって、そういうものに依らない成長というものを何か見ていらっしゃるのか、そこを確認させていただきたいです。先ほど課金と広告は1:1と梅田様からはご発言がありましたけれども、これは長期にわたっても1対1ぐらいのイメージで見ていらっしゃるのか、それとも変化が生じるのかということについてお伺いしたいのが2つ目でございます。
3つ目は、米国では現状、広告についてFacebookやGoogleに寄りすぎているというのがアメリカの広告の構造じゃないかと感じております。そして昨今、FacebookやGoogleの変化によって広告収入がかなり大きく左右されるという状況になっており、御社のQuartzの広告事業も、将来的に一定のリスクを含んでいる気がします。経営陣の認識としてそれはそれで仕方ないのか、それとも何か脱することが可能なのかということについてお伺いしたいのが3つ目でございます。
最後4つ目なんですけれども、米国について、過去の失敗例しか我々は見ていないもので、期待値をそれほど高く持てないことは本当に申し訳ない限りです。
ただ一方で、もし梅田さんが描いているイメージにならなくても、本来NewsPicks単独でやらざるを得なかったアメリカでの人員拡充においてQuartzの人員や支局を使えるという側面もあると思うのです。このような、梅田さんが描いていらっしゃる課金を中心とした成長シナリオが実現しなかったとしても、こういう範囲は約束、あるいは実践できるんだみたいな、もしそういう思いがありましたら、ご示唆いただければというのが最後の質問でございます。
稲垣裕介(代表取締役社長(共同経営者)):
ご質問ありがとうございます。まずはSPEEDAについて私からご説明いたします。
前回お伝えしたことをもう一度整理させていただきますと、まずプロフェッショナルファームと我々が呼んでいるコンサルティングファームや金融機関のお客様に関しては、現状しっかりとお役に立てている感覚はあり、解約率も非常に低い状態となっております。他方で今、成長ドライバーにもなっているのが事業会社のお客様ですが、事業会社の方々は多様な使い方をされており、その中で財務会計に詳しい方がおられなかったりと、お客様によって解約率がどうしても高くなってしまうケースがございます。ここに対して、どういう手を打てるのかという対策の中で、コンサルティング的な課題解決アプローチを挙げています。
私達としては、対策として大きく3つを考えています。
1つはまず事業として、サービスがそういった方々にもちゃんと使っていただけるものに進化していくというところです。経営者として私は開発メンバーの増員と、例えばプロフェッショナルファーム向けと事業会社向けの開発ですとか、お客様別によりスピーディーな開発体制を作り、それによってプロダクトを進化させるということを考えています。
2つ目が、先ほどのコンサルティング的アプローチにもつながるのですが、社内でカスタマーサクセスチームを立ち上げました。今まではリソースの問題もあり、お客さまから問い合わせを受けてから、必要に応じてサポートをしてまいりました。
今はこちらからオンボーディング(注:新規に使っていただく際)に、お客さまのところに伺って、実際にどういう使い方をすればよりお役に立てるのかということをヒアリングしてサポートを行うなど、攻めの展開をしています。この施策が効いてきていまして、解約率も徐々に軽減されてきています。この部分は私達としても自信を持てるような形で進めてられておりますので、来期の事業計画では自信を持って反映して次の決算でまたご説明できればと思っております。
3つ目がご質問にもあたるもので、今後の選択肢として考えている研修やコンサルティングサービスとなりますが、こちらは事業会社の方々がどういうものを求めているのかをもう少し認識をした上で、外部の方々とアライアンスを組んでやっていくことを考えておりますが、今はまだその手前の段階だと考えています。
質問者3:
ありがとうございます。そこについて1点、補足でお伺いしたいです。
ご説明いただいたことを踏まえると、SPEEDA事業の成長・加速という点については、来期ですとかそれほど遠くない将来に実現できると、稲垣さんとしては自信を持っていらっしゃると、そういう理解でよろしいでしょうか。
稲垣:
まずSPEEDAとして一番重要な点は、先ほども梅田から説明がありましたように、EBITDA30%をしっかりとお約束するところかと思っております。2020年に向けて正常利益率の30%を達成するとお話しさせていただいていると思いますが、そこへの手応えはしっかりと持っています。
そしてSPEEDAとしては同時に成長率も落とさないことが重要だと思っております。この両面をしっかりと実現をして、ユーザベース全体で十分な投資ができるだけの収益に支えていけるということは、しっかりと自信を持ってお見せできるかと思っています。
梅田:
それでは、2〜4番目の質問について、私から回答させていただきます。
2点目は、NewsPicksの課金を加速させる見通しと、広告は今後どうやって伸ばしていくのかというご質問だったかと思います。
NewsPicksの課金で、今、一番の課金ドライバーになっているものは、編集部のオリジナルコンテンツです。このオリジナルコンテンツのほとんどはテキストコンテンツですけれども、テキストのみならず動画や別の形態でのオリジナルコンテンツ制作に投資しております。
これは佐々木(CCO)が主導してやっておりまして、NewsPicks Studiosという新会社を電通さんと合弁で設立したのは、この動画制作が目的になっております。この動画が明確に課金に貢献してきておりますので、今までテキストコンテンツだけだったところに、動画コンテンツという新たなドライバーを作っていくというのが、課金を伸ばしていくための1つ目の施策です。
2つ目の施策は、今まではコンテンツのパワーだけに依存して有料会員数が増えていたんですけれども、当たり前にやらなければいけないマーケティング施策をやってきていなかったんです。当たり前のマーケティング施策をちゃんとやることも非常に大切と思っておりまして、例えば30日間無料トライアルですとか、紹介キャンペーンとかです。
無料トライアルはこれまでもブラウザでは始めていましたが、アプリで始めたのが第4四半期でして、今回の数字には反映されておりません。ですが足元の数字を見ていますと、やはりこういう施策をやると、しっかり数字に反映されてきておりますので、当たり前のマーケティング施策をしっかりやることで、今までのコンテンツパワーをレバレッジさせていくということはできるんじゃないかなと思っております。
ですので、有料会員獲得を加速させていく大きな方法は、コンテンツパワーをまず増やすこと。今までのテキストコンテンツもそうですが、動画を強化していくというのが1つ。2つ目は、そのコンテンツパワーが最大限発揮されるように、マーケティング施策やキャンペーン施策をしっかりとやっていく。そこに専属の人員を配置し始めたというところであります。
そしてNewsPicksの広告についてですね。こちらはブランド広告が主でありますので、必ずしも、売上がページビューやDAUに直接影響されるわけではありません。有料課金の成長率が高くなっておりますので、このままのペースでいきますと、有料課金のほうが広告よりも大きくなってきます。今は綺麗に1:1ぐらいになっていますけれども、今後は有料課金のほうが高くなっていく見通しです。
ただ広告も成長率をもっと上げていこうとやっておりまして、広告というかソリューション売上と社内では呼ぶようにしているんですけれども、それをやっていこうと考えております。具体的には、発表させていただきましたNewsPicks for Businessという新しいBtoBサービスを始めます。
今までは広告を企業さま向けのBtoBとして提供してきましたが、違うラインでBtoBのサービスラインナップを広げていくというかたちです。今後、広告売上をBtoB売上と呼んだほうがいいかもしれないのですが、BtoBの売上高を増やしていき、BtoCの有料課金と合わせて、1:1を維持していけるのが理想であります。
3点目のご質問に関しまして、Quartzのビジネスは今、広告一本に頼っている状況です。ただQuartzの広告も、ページビューに依存する広告は、割合として意識的に非常に低くしています。
ご指摘の通り、ページビューに依存する広告は、どうしてもFacebookやTwitterといった膨大なトラフィックを持っているプラットフォームプレイヤーが鍵を握っている為、そこでは勝負しないということが大きな方向性としてあります。それでQuartzではパートナーシップと呼んでいる、NewsPicks for Businessと少し発想が近いサービスなんですが、企業に向けて総合的なソリューションを提供していくという売上高が多くなってきております。
このようにページビューに依存しない広告売上高を増やしておりますが、具体的には、Quartz botというものがあり、これはQuartzのAIが自動的に記事を配信するものです。例えばこれはQuartzがHBOさん向けに手がけたのですが、Quartz botを社内向けに提供し、AIが記事を提供していくという、そういう社内的ソリューションをやりました。このようにクリエイティブとテクノロジーの力を使って、企業にソリューションを提供していく売上高の比率も増えてきておりますので、これが安定的な収益になっていくと考えております。
最後に、ガバナンス面についてですね。ご質問の趣旨として、仮に想定どおりいかなかった場合に、ずっと赤字を出し続けるのかということかと思います。
ここにつきましては我々もきちんと期間を決めて、その中でやっていかなければいけないと思ってます。これはNewsPicksの立ち上げや、今のFORCASの立ち上げでも全てにおいてなのですが、事業づくりはまず3年が目安だと思っております。3年かかっても思うようにいっていないのであれば、これは方針を転換しなければいけないと思っております。
Quartzは幸いにも、売上がすでにあがっている会社です。広告主にもしっかりと評価されて、売上があがっている状態でございますので、投資を止めさえすれば、収益を出しやすいビジネスであります。そのため、3年経っても思うように課金モデルが立ち上がっていないとなりましたら、投資を抑え、収益を出しにいくという方向に舵を切る事は一つのディスプリン(規律)だと考えています。ですので繰り返しになりますが、米国事業を含めた新規事業につきましては、3年を1つの時間軸としてお持ちいただけるとありがたいです。
質問者3:
ありがとうございました。
質問4:組織づくりで意識していることは
質問者4:
グループ全体の組織づくりで、特にこの段階でケアされていることがあれば教えてください。事業も多岐にわたり始めておりますし、従業員の数も増えたりと、いろんな異動もあると思うので、この段階でケアしていることがあれば。
稲垣:
ありがとうございます。僕たちの会社はミッションとバリュー、この2つがすべてであるということを徹底的に話しています。日本の中でも事業は多岐にわたり、CEOの数も増えてきており、アジアや米国もある中で、シンプルにこの点を力強く伝える、この1点に尽きるかなと思っています。
逆にこれ以外に関しては、チームごとやサービスごとに多少の違いを認め、多様な挑戦ができてもいいんじゃないかと思っています。そこに関しては各CEOやリーダーたちが、自分たちの信じられる経営で進めていき、そのPDCAによって生まれてくるものが、グループ全体のDNAに反映される部分もあると思っていますので、私たちはそれをサポートしていきたいと考えています。
ただその中で、生まれてくる問題を検知できなかったり何の手も打たなかったりということは絶対にやってはいけないので、そこに対するPDCAは、コーポレート部門と定期的に話し合いながら進めています。
組織診断にあたっては、日本とアジアではリンクアンドモチベーションさんの「モチベーションクラウド」という製品を使って、組織の状態を半期に1回可視化しています。そこで何か想定と違うような問題ですとか、リーダーが困っているようなことがあれば、役員も積極的に介入してその対応をするということを続けています。
あと例えば私たちの根幹でいうと、採用をどう強化していくのかというところがあります。採用基準をクリアにして全社にしっかり伝えていくことですとか、グローバルでも通用するような採用基準を強くしていくことを、コーポレート部門と一体になって進めています。
質問者4:
今回、共同創業者で取締役の新野さんが役員退任されていますけれども、それをプラスに持っていけるのか、その影響をどう見ていらっしゃるか教えていただけますか。
稲垣:
まず事業面のところでいいますと、彼が見ていたのは主にSPEEDAのところでした。ここに関しては去年の療養のタイミングから、新野がいなくても私たちだけでしっかり経営できるように進めてまいりました。彼が仮にどこかで戻ってこられたときにも驚かせるぐらい、もう要らないよって言えるぐらい成長してやろうとメンバーたちとも話してきていましたので、彼が戻ることを前提に、この1年の組織づくりはしていません。
これは今しっかりと形にできていると思っています。アジア事業をやっていた岩澤(脩)がUB VenturesというVC事業を立ち上げ、その後を引き継いだ太田(智之)はPMIでQuartzのCFOを務めていますがが、そういった人材が抜けてもしっかりと数字を上げることができています。
もちろん私も今SPEEDA CEOとして一緒にやっておりますが、グループ全体の代表と兼務をしているので、どうしても他の役員と同じようにしっかり時間を割けるわけではありません。それでも今期の決算でお見せしている数字をしっかりと描くことができているのは、新野の不在を言い訳にせず、逆にバネにして、奮起して、より成長した姿を彼にも見せるんだというぐらいの気持ちでやれているからだと思っています。
経営陣である私と梅田の関係性に関しても、新野がいれば、もっとできることはあるのかもしれません。ですが彼も経営顧問として残ってくれていますし、今でも何か重要な決断をする時は相談をして、一緒に会話をして進められています。今後も私と梅田が経営していく中で彼の意見が必要な時には、引き続き一緒に進めていくことができるかと思っています。
梅田:
新野のところでちょっとだけ補足させていただきますと、稲垣が説明したとおり、事業のオペレーション面というところは、もう本当に心強い仲間が、自分たちでやるぞという気概のもと、昨年から組織なり強いオペレーションをつくってきておりますので、そこはもう心配ないと自信を持ってお伝えできます。
ただやはり、新野がユーザベースのミッション・バリュー経営をつくってきたところが非常に大きいですし、何より10年一緒にやってきて精神的支柱ではありましたので、大きかったといえば大きかったというところも率直に思っております。
ただこれは、ユーザベースが創業して10年が経って、次の10年に行くための1つのサインだなとも思っております。新野に頼らず、彼が残してくれたミッション・バリュー経営をどうやって進化させていくのかという、これが我々の最大の課題であり、次の進化のために私と稲垣がしっかり引き継いでいかなければいけないところだなという風に思っております。ですので私にとっては、「もっとしっかりしろよ!」と言われているようなものかなという風に思っております。
役員退任発表後、新野を笑顔で囲む「みんなの会」を開催しました
質問者5:
ありがとうございました。
司会:
それでは、以上をもちまして株式会社ユーザベース2018年第3四半期決算説明会を終了いたします。お忙しい中、お越しいただきましてありがとうございました。