ゴールドマン・サックス証券の長期・未来志向がなぜか日本の銀行にはない
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小泉泰郎FiNC副社長。GSのDCM/レバレッジド・ファイナンス関連ビジネスを行なっていたときの上司でした。
小泉氏から多くのことを学びました。学んだもののうち、今でも特に役に立っているのは以下の2つのソフトスキル。
①大事な数値を頭に入れること
・小泉氏とはじめてミーティングをしたとき(私は当時20代半ばのペーペー)、矢継ぎ早に、「この会社の売上高は?マージンは?じゃあEBITDAは?メンテナンスCAPEXはいくらだ?レバレッジレシオは?」と質問されました。
・後で考えると、こういった質問で、数値感覚を持って仕事をしている若手かどうか、峻別していたのだと思います。惰性で数値を取り扱う人は大きなミスを引き起こすので、信用できません。数値についてオーナーシップを持つことは、金融業を行うに必須の心構えです。
②大事なことを言い切ること
・お客様へのプレゼンの場や、海外コミッティーメンバーとの電話会議の際に、小泉氏は必ずポジションをとって”言い切る”スタンスでした。「と思います」「思われます」「おそらく」禁止。言い切ることで、説得力が生まれます。
・なお、ポジションをとって言い切るのは、誤るリスクがあるので大変です。言い切るために、事前に徹底した調査をチームで行い、シームレスな情報共有で、忙しいボスも常に最新の状況を把握できる環境を整えることが必須です。これもプロフェッショナルな仕事を行ううえで必要な行動様式です。共同代表の小泉の記事。森さんがとても嬉しいことを書いてくださっていますが、私自身も、親よりも年上の小泉から学んだことはとても多いです。記事の内容とはそれますが、初期のベンチャー経営において、負えるリスクのサイズは経営チームの力に比例します。これまで我々が相対的に見て、大きなリスクを取ってこれたのは、小泉のような金融のプロの存在が大きいです。彼がいなければ、もう少し堅実な事業計画にせざるを得ず、結果小さくまとまっていたことでしょう。
記事の本旨からは逸れますが、改めて「長期信用銀行」各行のその後の顛末を振り返ると、なかなか笑えない冗談のようなネーミングだったなと思いますね。そういう意味では、日本に限った話ではなく、LTCMなども同様ですが。