[ソウル 9日 ロイター] - 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9日、金東ヨン(キム・ドンヨン)企画財政相と張夏成(チャン・ハソン)大統領府政策室長を更迭し、後任を政権内部から指名した。大統領府が発表した。

予想外に大がかりな改造となったが、後任に政権内の人材を充てたことで、成長を損なっているとエコノミストが批判する現在の経済政策を強化する狙いがみてとれる。

金企画財政相の後任には洪楠基(ホン・ナムギ)国務調整室長、張政策室長の後任には金秀顕(キム・スヒョン)大統領府社会首席秘書官が就く。

大統領報道官は会見で「誰もが一緒に豊かになれる包摂的な国家を建設するため、さらに強力な措置を打ち出すことが目的だ」と表明した。

金東ヨン氏は、大統領の「所得主導成長」政策の調整を求めて、張夏成氏とたびたび衝突していた。大統領が進める最低賃金の大幅引き上げや労働時間短縮については、低所得層が打撃を受け、逆効果になったとの批判が出ている。

今回の人事に対する市場の反応は限定的。ソシエテ・ジェネラルの韓国担当チーフエコノミスト、Oh Suk-tae氏は「政策変更を示すものでは全くない。大統領が政府に対し、今までと同じことをもっと強力に進めてほしいと要求しているにすぎない」と述べた。

韓国ギャラップがこの日発表した世論調査結果によると、文大統領の支持率は4週連続で低下し、54%となった。就任直後は84%の高い支持率を記録していた。

同国の最低賃金は今後2年で約30%引き上げられる予定。大企業の週労働時間は約25%短縮された。ただこれまでのところ、就業率は低下しており、所得も減少している。