【藤原和博×高濱正伸】子どもをニューエリートに育てる方法

2018/11/12
新しい時代をリードするニューエリートを育てるには、どのような教育が必要か。独自の教育を実践してきた2人に語ってもらった。

1つ突き抜ければ輝ける時代

──今、かつてのエリートとは異なる「ニューエリート」が活躍し始めています。これからの時代、どのような人がニューエリートになっていくと思われますか。
高濱 まず、ニューエリートのすべてがリーダーである必要はないんですよね。リーダーにならなかったらもう終わり、というふうに思わなくていい。
これまでは、いい中学、高校から東大に入って、大手企業に就職して……というエリートコースを目指すために、親たち、特に母親は、とにかくその道を外れないような教育をしてきました。
でも、これからは、みんながみんなリーダーにならなくても、何か1つ、突き抜けて尖ったところがあれば、輝ける時代です。その尖ったところ、子どもが得意なことを、早いうちに見つけて伸ばしていくことを意識する必要があると思います。
藤原 そう、そういう僕らや今の親世代が信じてきたエリートコースは、もう目指すべきところではないということは、はっきりしていますよね。
多くの小学校では、「みんな一緒に仲良く元気良く」という教育目標が掲げられています。近年はそこに「よく考える」というのが入ってきているんですけど、これは実は矛盾していて、ファッションのように加えられたものじゃないかと思えてしまう。
だって、「よく考える」が目標なら、別に活発でなくてもいいし、1人で好きなことに没頭していてもいいはずですよね。
例えば、エジプト考古学者の吉村作治さんは、小学生の時「暗い」ということでいじめられていたそうです。それで、図書館に逃げ込んで本を読むうち、『ツタンカーメン王の秘密』に出会い、夢中になった。
そこからずっとその興味を究めて、今の仕事につながったわけです。これからの時代は、そういう希少性に向かっていくべきだと思いますね。
高濱 今だと、世界ジュニアゴルフ選手権の6歳以下の部で、史上最年少の5歳で優勝した須藤弥勒ちゃんがいますよね。
あの子の場合は、父親がいろいろなことをやらせてみて、ゴルフが最も向いているという見立てをして、徹底的に取り組んでいった。そういう見立てを、親ができるかどうかが重要になってくると思います。

目指すべきは“ミリオンズ”

──藤原さんは「『100人に1人』のスキルを3つ掛け合わせて、『100万人に1人』の希少な存在になれ」という自説を唱えていますが、これからは、子どもの頃からそれを意識した方がいいということでしょうか。