ウォーレン・バフェットは、自らの成功を読書の賜物だとしている。バフェットの多読習慣を見習うべく、まずは今回紹介するリーダーシップに関する10冊から読み始めてみてはいかがだろうか。
「毎日500ページは読むこと」
ビリオネアのウォーレン・バフェットに対して、投資を学ぶある学生が「成功の鍵は何か」と訊ねた。バフェットが挙げたのは、そのつつましいライフスタイルでも、投資戦略でも、仲間とのネットワークでもなかった。彼が指差した先にあったのは、本の山だった。
「こんなふうに、毎日500ページは読むことです」。バフェットは、コロンビア大学の学生たちにそう語っている。「知識とは、そういうかたちで役立つものです。知識は、複利のように積み上がっていくものなのです。これは誰にだってできることですが、本当にそうする人は、まずほとんどいないでしょうね」
数々の有名企業を抱える一大ビジネス帝国の長であるバフェットは、長い時には起きている時間の80%を読書に費やしているという。
愛読書も、経済学者ジョン・メイナード・ケインズによる古典的名作『ケインズ 説得論集』(邦訳:日本経済新聞出版社)から、元米国財務長官ティモシー・ガイトナーによる『ガイトナー回顧録 金融危機の真相』(邦訳:日本経済新聞出版社)まで多岐にわたっている。
どんな世界であれ、あなたが「あなたの世界でのバフェット」になるためには、読書する時間を作らなければならない。リーダーシップやテクノロジー、マーケティング、個人的成長……。学びを得たい分野がどれであっても、今回紹介する本の中からきっと見つかるはずだ。
1.『Data Science for Executives(経営幹部のためのデータサイエンス)』ニル・カルデロ著(邦訳なし)
アメリカの雇用市場において、データサイエンスが2番目に急成長している分野であるのには理由がある。それは、あらゆる企業がデータサイエンスを必要としているのに、それを本当に理解できているリーダーはほぼ存在していないからだ。
本書は、データサイエンスやAIを使った新しい試みを企業はどのように実践できるのかについて考察している。Galvanizeのヴァイスプレジデントでデータサイエンス部門のトップでもある著者が、偏見を打破し、実践的な戦略を提示して、なぜあらゆるタイプの企業にデータサイエンスが必要なのかを解説している。
2.『WTF?!(Willing to Fail)』ブライアン・スカダモア著(邦訳なし)
華やかとはとても言えない不用品回収業界で、数百万ドル規模の企業を築き上げた1-800-GOT-JUNKのCEOブライアン・スカダモアが伝えたいこと。それは、つらぬき通すことこそがリーダーの最も重要な資質であるという彼の信念だ。
本書では、周りに悪影響を及ぼす社員や情報が不足する中での経営判断、財務状況の変動にどう対処していったかという彼の経験が語られている。そこから学べるのは、感謝の気持ちを育む、ピンチをチャンスに変える、打撃を受けた事業の立て直しといったことに関する教訓だ。
3.『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く』パティ・マッコード著(邦訳:光文社)
企業が実施しているモチベーション向上の取り組みは、そのほとんどがリソースの無駄遣いだと、本書は主張している。著者のマッコードは、勤務評定や従業員特典、ボーナスの計画などよりももっとシンプルなシステム、すなわちとことん正直になること、そしてやりがいのある仕事が必要だと主張する。
NETFLIXの元最高人事責任者である彼女が、同社がそうしたやり方をどう活用し、それがあの著しい成長にいかにつながっていったのか、その内情を綴った一冊だ。
4.『The Motivation Trap(モチベーションの罠)』ジョン・ヒトラー著(邦訳なし)
科学的根拠に基づいて書かれた本書を読んで、アメとムチを使ったモチベーション向上の手法がなぜうまくいかないのか理解しよう。
トランスフォーメーショナル(変革型)ビジネスコーチとして個人やグループ、企業をコーチングしてきたジョン・ヒトラーはこの本で、彼の経験から明らかになった内発的モチベーションと外発的モチベーションの違いを論じている。
もしチームメンバーが自分のモチベーションに各自で責任をもち、仕事を楽しみながら自主的に行動し、高い成果を出すチームを作る戦略を共有したら、企業はどうなるだろうか。ヒトラーはそう問いかけている。
5.『Unlearning Leadership(リーダーシップを忘れてみよう)』ガイ・ベル著(邦訳なし)
一般的な企業は「組織にとっての利益」を「従業員にとっての利益」よりも優先していると、ベルは考えている。本書では株主の利益を絶対視する企業の業績の悪さと、従業員を第一に考えている企業が上げた業績が比較されている。
また、リーダーが自己発見や共感型リーダーシップ、変革をもたらす思考などに、どのように力を注げばいいのかについても考察している。
6.『People Processes(人間中心の人事プロセス)』ラミー・アレジール著(邦訳なし)
Poplar FinancialのCEOでもある著者のラミー・アレジールは、人事部門に絶えずつきまとう問題について警鐘を鳴らしている。つまり、プロセスを人間より優先するという問題だ。
アレジールは企業のリーダーに向けて、社員の離職率を下げ、パフォーマンスを向上させるには、人事関連業務をできるだけ多く自動化させるべきだと述べている。
新人のオンボーディングや給与計算、レポート作成、コンプライアンスといった機械的にできる職務を、テクノロジーを使っていかに最適化するかをエグゼクティブに向けて指南してくれている。
7.『Growth IQ(成長の知能指数)』ティファニー・ボーヴァ著(邦訳なし)
読者に「自社の事業の成否を分ける決断について、より賢くできるようになってもらう」ことを目的とした一冊だ。
元ガートナーのヴァイスプレジデントで、現在はセールスフォース・ドットコムのイノベーションリーダーを務める著者は、エグゼクティブは競合他社の成長戦略を真似したくなる衝動を抑え、独自の計画を立てなければならないと説く。
また、成功を収めた成長戦略はどれも10の道筋に分解できると解説している。
8.『We Are All the Same Age Now(現代のわれわれは、皆同じ年齢になった)』デイヴィッド・アリソン著(邦訳なし)
人口統計は絶対的な運命なのか。著者であるマーケティングコンサルタント、デイヴィッド・アリソンによれば、それは違う。人間の行動を予測するうえで、年齢や性別といった属性は役に立たないというのだ。
75000人分の研究結果を分析した結果としてアリソンが発見したのは、人々の真の動機は個人的な価値観にあるということだった。
本書では、彼が「バリューグラフィック」と名づけたシステムを使い、価値観をベースにしたモデルを活用して、組織の効率を改善し、社内の駆け引きを減らし、業界の破壊的革新に備えるべきだと説いている。
9.『確率思考 不確かな未来から利益を生みだす』アニー・デューク著(邦訳:日経BP社)
著者のアニー・デュークは、ワールドシリーズ・オブ・ポーカーでの優勝経験があり、賭けについては心得がある。本書で彼女が示すのは、不確かなことを目前にしながらも、困難な決断を下す際の指針だ。
既知のものとそうでないものを客観的に評価し、破壊的な意思決定をできるだけしないようにするためのフレームワークを提示している。
10.『Break the Wheel(車輪を破壊しよう)』ジェイ・アカンゾ著(邦訳なし)
ポッドキャスト「Unthinkable Media」の創始者で、かつてはHubSpotのコンテンツ責任者を務めていたジェイ・アカンゾによる本書は、読者が自分の置かれた状況で最善の決断をできるように手助けする一冊だ。
型にはまった考え方から抜け出すために自分に問いかけるべき、6つの基本的な質問を示している。現在どんな仕事をしていたとしても、前に進むための道筋を見つけられるはずだ。
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毎日時間が足りないとしても、学びのための読書をしないままに2019年を過ごしてしまうわけにはいかない。
今回紹介した本にはそれぞれ、データサイエンスや人事業務の自動化、口コミでのマーケティング、現代的なカルチャー構築など、21世紀の課題に対処するのに必要な幅広い知見が盛り込まれている。
それになんといっても、ウォーレン・バフェットが読書の時間を作れるのならば、あなたにだってできるはずだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Gene Hammett、翻訳:半井明里/ガリレオ、写真:photogl/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.