駐車場シェア拡大も大企業撤退のワケ
2018/11/15
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「AMERICAN EXPRESS PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。 今週は「ベンチャー起業家WEEK」として、起業家が選ぶ経営者が読むべきニュースをお届けします。
15日は、akippa 代表の金谷 元気(かなや・げんき)さんが出演します。
「駐車場シェア、異業種から続々参入 用地確保に苦戦で撤退例も」(産経ニュース)を切り口に、需要の拡大が予想される駐車場シェアリングサービスの現在についてお話いただきました。
空き駐車場を活用
サッシャ 「駐車場シェアリング」というのは、どういう業態のサービスなんでしょう?
金谷 専用アプリなどを通じて、空いている駐車場を1日単位で貸し出したり、借りたりできるサービスのことです。
私が代表を務めている「akippa」では、空いている月極駐車場やマンションの駐車場などを15分~1日単位で予約できるサービスを提供しています。また、個人の駐車場だけでなく、東急百貨店や丸ビルなどの商業施設の駐車場も予約できるようになりました。
サッシャ 事前に駐車場の予約ができる、というのは便利なサービスですよね。現地に行ったところで駐車場が空いていないと困ってしまいますから。
一般の方からしても、一軒家やマンションの「使っていない駐車場」をakippa経由で簡単に貸すことができるというのは嬉しいですね。
金谷 専用アプリを使えば、メルカリで出品するように簡単に駐車場を貸し出すことができます。
寺岡 そもそも、使われていない駐車場はたくさんあるんですか?
金谷 はい、あります。都会を中心にカーシェアリングやレンタカーの需要が増えていて、車を手放す人が多くいらっしゃいます。それによって、月極駐車場は空きがちになっているんです。
その一方で、時間貸し駐車場は数が足りていないんですね。世の中には車が8000万台以上あるのに時間貸し駐車場の数はその5%程度しかない、と言われています。
時間貸し駐車場が全然足りていないけど、月極駐車場は余っている。「じゃあ、遊んでいる月極駐車場を手軽に時間貸しできるようなシステムを作れば問題を解決できるのでは?」という考えで生まれたのが駐車場シェアリングサービスなんですよ。
広まる駐車場シェア
サッシャ 現在では、異業種からも続々参入されているほどホットな業界だと聞きました。
金谷 携帯のキャリアでは、ドコモさんやソフトバンクさんなど参入しています。また、今年の5月ごろに撤退したのですが、IT系大手のリクルートさんや楽天さんなども参入していました。
サッシャ 業界が盛り上がっている背景としては、どんな理由があるのでしょうか?
金谷 ひとつは、「法規制」が背景にあります。民泊やライドシェアを日本で運営するには様々な法規制が絡むのですが、駐車場シェアリング自体は全く法規制の縛りがないんですよ。
駐車場法というのはもちろんあるのですが、その中に駐車場シェアリングを難しくする要素は一つも入っていません。基本的に、借りている駐車場を勝手に又貸ししない限りは規制に引っかかることがないんです。
サッシャ 自分の所有している駐車場であれば簡単に貸せるから広まりやすい、ということですね。
金谷 ふたつめの理由としては、「駐車場を運営していると有用な顧客データを手に入れることができる」という点が挙げられます。
まず、駐車場を通して料金支払い時の決済データ、「誰がどこに行くのか」という行動データがとれます。
また、車種を登録すると、サイズの関係で使えない駐車場を検索結果から外してくれる機能があるので、「どんな車に乗っているのか」という車両データも取得することができるんです。
こうやって貯まっていくデータは、将来的に自動運転の時代が来たときに生かすことができるんです。
サッシャ メリットがたくさんあるから増えているんですね。
金谷 それと、「そもそも駐車場シェアリングサービスは日本人に馴染んでいる」という点も大きいと思います。
平成30年度の『情報通信白書』で発表された「日本人のシェアリングサービス利用経験率」の中で、「駐車場シェア」は約9.1%。1位をとっているんです。
「民泊」や「ライドシェア」の4.1%、「スキル」や「モノのシェア」にいたっては1~3%の人しか使った経験がない中で、駐車場シェアリングサービスはすでにたくさんの人が利用しています。
大手企業が撤退する理由
サッシャ この記事によると「撤退している企業も多い」とのことですが、これはなぜなのでしょうか?
金谷 後から参入しても、サービスの肝となる空き駐車場を確保しづらいという点が理由ではないでしょうか。
駐車場シェアリングサービスは、もともと私たちakippaと軒先というベンチャー企業が先行して駐車場を押さえていっていたんです。その時間差の分だけ、後から大手企業さんが参入しても、駐車場の確保が難しい状況にあります。
大手企業のネームバリューでユーザーさんがアプリを開いても、予約できる駐車場がほとんどない。そうすると、ユーザーさんはそのアプリを使わなくなりますよね。
ユーザー比率で言うと、akippaは現在、半数以上のシェアを押さえています。空き駐車場を持っている事業者さんたちは企業のネームバリューよりもサービスを活用した場合の収益性で判断するので、先行してシェアを押さえている我々ベンチャー企業の確保できる駐車場がさらに増えていくんですよ。
サッシャ 今後、駐車場シェアリングサービスはどうなっていくんでしょうか?
金谷 このサービスはまだまだ伸びる余地があると思っています。
現在、駐車場シェアリングで活用されている駐車場とコインパーキングを合わせても、時間貸し駐車場の数は駐車需要にとても追いついていません。なのに、月極やマンションの空き駐車場の数は、時間貸し駐車場の需要以上に多いんです。
サッシャ では、駐車場の立地の問題は置いておくとして、数だけで考えた場合は「みんながakippaのサービスを使えば駐車場問題が解決する」ということになりますね。
金谷 数字上は駐車場で困る人がいなくなるかなと思います。
今回のニュースをはじめとした金谷さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
11月19日は、ライフイズテック 取締役 兼 公共領域担当の讃井 康智さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。
【番組概要】
放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: AMERICAN EXPRESS PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
提供:アメリカン・エキスプレス
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そう、ビジネスには、これがいる。
いつも、どんなときも、ビジネスをサポート
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番組WEBサイトはこちらをご覧ください
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