[東京 31日 ロイター] - NTTドコモ <9437.T>が、携帯電話料金の値下げを表明した。スマートフォンの端末代と通信料金を分離したプランを軸に、値下げにつながる新たな料金プランを検討する。この影響で同社は来期、6年ぶりの営業減益となる見通しだ。ドコモの減益覚悟の値下げは、株式上場を控えるソフトバンクの大きなプレッシャーとなりそうだ。

ドコモは31日、現行の料金プランを見直し、2019年4─6月期に2─4割程度の値下げを行うと発表した。1年当たり最大4000億円規模の顧客還元を実施する。この影響で一時的に営業減益となるが、非通信分野を伸ばすなどして、2024年3月期に現行の営業利益規模(約9900億円)の回復を目指す。

「シンプルでわかりやすい料金プランに、大胆な見直しを行う」──。ドコモの吉澤和弘社長は31日の会見でこう述べ、新プランの導入に意欲を示した。

ドコモをはじめとする大手3社は、これまで高額なスマホを安く買えるように、スマホ代の一部を通信料から割り引くプランを中心に拡販を図ってきた。

だが、政府内では「このセット販売が料金の内訳を不透明にし、通信料の高止まりを招く原因になっている」との批判が出ていた。

このため3社は、端末代を割り引かない代わりに通信料を安くする「分離プラン」を導入。ドコモは昨年6月から特定の端末を購入すれば、毎月の利用料金から1500円を割り引く「ドコモウィズ」の提供を開始した。同プランは9月に契約数が300万件を突破するなど、順調に加入者を伸ばしている。

ただ、ドコモウィズは対象端末を購入しなければならないうえに、機種数も限られるなど、割り引きを受けるためには制約がある。ドコモはこうした制約のない新たな分離プランの導入を検討する見通しだ。

通信料金をめぐっては、菅義偉官房長官が高過ぎると繰り返し批判していた。ドコモは新プランを導入することで、政府の値下げ要請に応える。

だが、減益覚悟の値下げは、株主にとっては痛手となる。吉澤社長は今後の収支計画について「何年減益が続いて、どのくらいで回復するかという姿は描けていない」と語った。

この値下げ規模は、株式上場を控え、利益を確保することが求められているソフトバンクにとって、大きなプレッシャーになりそうだ。

(志田義寧 編集:田巻一彦)