【落合陽一×藤原和博】芸術をアップデートせよ

2018/11/2
10月31日のWEEKLY OCHIAIは「芸術のアップデート」。教育改革実践家の藤原和博さんとノンフィクション作家の神山典士さんをゲストにお迎えし、北斎が西洋に与えた影響とアート性を持つ生き方について議論しました。
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教養としての北斎

「日本の浮世絵が印象派に与えた影響を知るか知らないかでは、教養が分かれる。」(藤原)
「幼児教育のアップデート」より再びの登場となる藤原和博さん。
この日は『知られざる北斎』著者の神山典士さんも交え、北斎が西洋に与えた影響から議論が始まった。
藤原和博(ふじわら・かずひろ)。1955年東京都生まれ。東京大学卒業後、リクルート入社。2003年より5年間、都内の義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を勤め、16年から奈良市立一条高校校長として2年間勤務。

HOKUSAIは西洋アート界の黒船

2019年度より、代表作『富獄三十六景』がパスポートのページデザインに導入され、展覧会や雑誌の特集が続く、葛飾北斎。
北斎は、なぜ多くの印象派アーティストに影響を与え、世界で高い評価を受けるのか。
葛飾北斎 「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
「北斎が凄いから影響を与えたのではなく、彼らの感受性が凄いから影響を受けた。」(神山)
北斎の影響力を語る上で、西洋人の感受性に着目する神山さん。
自国のアート文脈を無視してまで価値を見出してしまう感受性に、「絶妙なタイミングで」北斎が輸出され、影響を与えたという。
神山典士(こうやま・のりお)。1960年埼玉県生まれ。1996年「ライオンの夢、コンデ・コマ=前田光世伝」でデビュー。小学館・第3回ノンフィクション大賞優秀賞を獲得。扱うテーマは、芸術活動、スポーツ、ビジネス、食文化と多岐にわたる。

西洋文脈にない日本美術の抽象性

どう絶妙なタイミングだったか、落合さんは写真発明の影響を補足する。
特有の色彩感覚・画面構成と写実的すぎない抽象性が面白い、日本美術。
写実性が写真画などで実現された時代、写実性以外の芸術性を探していた人々に衝撃を与えたのは良くわかるという。
「どういう風に世界を見ているんだろうかということを、もう一段階掘り下げるのが当時の最先端だった。」(落合)
落合陽一(おちあい・よういち)ハロウィン仕様。1987年東京都生まれ。筑波大学 准教授・学長補佐 デジタルネイチャーグループ主宰。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。

アート性を持つ生き方

「今の時代に対して、自分がどういう価値を表明をするかという本質論。」(落合)
番組中盤、話題は落合さんの考える「アート性を持つ」生き方について。
アート性を持つことは、自分が何に接続され、なぜそれをするのかを理解すること。
それは、あらゆるビジネス・創作行為の根源をなす考え方だという。
時代性における位置付けを意識していれば、前提を覆してしまっても良いという落合さん。
詳細な議論、自身の位置付けは番組本編にて。アート作品解説も必見です。

今この瞬間を生きる実感

人生そのものに対するライフデザイン感覚。楽しく芸術的に生きていこうというエネルギーにも繋がる。」(藤原)
藤原さんは、ビジネスパーソンがアート性を培うと二つ利点があるという。
一つは表現力が上がり、プレゼンテーション能力が向上する。もう一つは、人生を楽しく生きるエネルギーに繋がる。
「過去から今に繋がって、今ここで出てきて、それが今ここにあるという瞬間。」(落合)

アート性を培うには

では、そもそもアート性を培うには、どうしたら良いのか。
それぞれの持論を展開する、藤原さんと落合さん。2人に共通するのは入り口は難しくないということ。
「細部に神を宿してアートするのは、日本人に合っている。」(藤原)
「好きなものをコレクションする所から始める。陳腐でもいい。」(落合)
藤原さんのデザインワーク、落合さんによる実演解説を、ぜひ本編でご覧ください。
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次回は「父親のアップデート」

11月7日は、花まる学習会代表の高濱正伸さんをゲストにお迎えします。
テーマは「父親」。
幼児教育における「父親の役割」にフォーカスし、これからの教育のあり方を議論します。
NewsPicksアカデミア会員の皆様は、下記のページより、番組観覧にお申込みいただけます。(先着40名)
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<執筆:潘嘉敏、デザイン:片山亜弥>