【3分解説】ATMとキャッシュレス化にまつわる3つの「誤解」

2018/11/1
金融庁が7年ぶりに銀行免許を交付し、10月にローソン銀行が動き出した。キャッシュレス化の波が押し寄せる中、なぜローソンはあえて銀行業に飛び込むのか。ATMやキャッシュレスの誤解と正解を、山下雅史社長に解説してもらった。
私は銀行に30年以上いたのでよく理解しているつもりですが、銀行業って本当に儲からないんです。ここ数年、ずっと新しい銀行が増えてこなかったのは、やっぱり儲からないからでしょう。
銀行には約10年周期で危機が訪れると言われています。
1998年にアジア通貨危機があって、一度死にかけました。2008年にはリーマン・ショックがあった。そして今、マイナス金利と他業種の金融業への参入で、収益力は低迷しています。
今回の危機は、過去2度の金融危機とは性質が違う、もっと根本的なものなので、最も厳しい環境かもしれません。
そんな中で、なぜ今あえて銀行業に参入するのか。皆さん、不思議に感じられていると思います。
特に、これからキャッシュレス社会が広がって、現金をどんどん使わなくなっていくと言われている中で、銀行を始めるなんて正気の沙汰なのかと。いろいろな方から、時代の流れに逆行しているのではという指摘をいただいています。
ただ、その中には、キャッシュレス社会や銀行業、ATMのニーズなどに対して、少し誤解が広がっているところもあるのではと思っています。
なぜローソンは、過酷な銀行の世界にわざわざ飛び込むのか。その理由を、ATM業界とキャッシュレスの現状をひも解きながら、ご説明したいと思います。