【渋澤健】あなたの家賃は、投資家の懐にチャリンと入っている

2018/11/4
賃貸住宅に住んで家賃を払い続けるか、賃貸と同じくらいのお金を30〜35年間払って住宅を所有した方がよいのか──。
「投資のプロ」なら、この問いにどう答えるのか。
今回は、コモンズ投信創業者で〝草食系投資家〟を自称する渋澤健氏(57)に、この疑問を投げかけた。
渋澤 健(しぶさわ・けん)/コモンズ投信会長
1961年生まれ。8歳の時に父親の転勤で渡米。1983年、大学卒業後に帰国し、国際交流のNGOに勤める。1987年、再渡米し、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でMBA経営大学院を卒業。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(現・コモンズ投信)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。著書に『渋沢栄一 100の訓言』や『人生100年時代のらくちん投資』(共著)など。日本における「資本市場の父」と呼ばれた渋沢栄一の孫の孫。

納得していればどちらでもいいが…

──最初に、結論から聞きたいと思います。今の若手ビジネスパーソンに対して、賃貸住宅に住み続けるか持ち家を買うか、ずばりどちらを勧めますか。
最終的な結論は「分からない」になるのですが、結局のところ「自分は自分」なので「自分で考えなさい」ということになります。
私の場合は、今57歳で、外資系の金融機関で働いていた20代、30代は、ずっと賃貸住宅に住んでいました。私は独身生活が長くて38歳で結婚し、40歳に、家族ができるタイミングで家を建てました。
この問いを投げられて、つくづく思うのが、自分の当時の価値観がいまだに昭和に影響されていたということです。やはり、「結婚したら、家は持たなきゃいけない」という価値観に縛られていた自分がいました。
堀江貴文さんのように「ホテルに住む」ことは一切、頭をよぎりませんでした(笑)。
──投資の観点からすると、どういう考え方があるでしょうか。
投資の観点から考えた時には、賃貸の場合、毎月払っている家賃(賃料)がどこへ行っているかを考えて、納得しているかも重要です。