【中村文則】僕は完全なフェミニストにはなれない

2018/10/26
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
引き続き、芥川賞作家の中村文則氏のインタビューをお送りする。
中村氏は、今年の10月に朝日新聞出版から、『その先の道に消える』を上梓(じょうし)した。
この作品では、ある殺人事件を発端に、登場人物たちが日本の保守的価値観や、性的嗜好の一つである緊縛と向き合っていく。NewsPicks編集部はこの作品を描くにいたった背景について、本人を直撃。
2回目の今回は、作品の重要なテーマである「性」について、語ってもらった。
価値観が逆転する場所
──衝撃的なストーリーでした。物語は、「緊縛」を軸に進んでいきます。
緊縛やSMというと、アブノーマルなイメージがあると思います。でも、調べたり取材したりする中で、苦しみが快楽になったり、悪が善になったり、いろんな価値観が逆転する場所としてSMがあることを知りました。つまり、緊縛がお互いの精神のやり取りの場になっているんですね。これは面白いと思いました。