お金よりも強いビジョン〈宗教的思想〉が事業拡大の鍵になる理由

2018/10/19
 そもそもはZEPPELIN代表の鳥越康平氏が、とあるnoteの投稿に深く共鳴したことからこの対談は始まった。
 クリエイター集団THE GUILDのCEOで、noteやcakesといったWebサービスを運営するピースオブケイクのCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)も務める深津貴之氏によるものだ。
大学で都市情報デザインを学んだ後、英国で2年間プロダクトデザインを学ぶ。2005年に帰国し、thaに入社。2013年、THE GUILDを設立。Flash/Interactive関連を扱うブログ「fladdict.net」を運営。現在は、iPhoneアプリを中心にUIデザインやInteractiveデザイン制作に取り組む。2017年からcakesとnoteを運営する、ピースオブケイクのCXOに就任。
 サービスを生み出し、集客し、成長させていくとき、皆さんはどんなことから考えますか? 

 自分は、一番最初に「荒野に旗を立てる絵」をイメージします。そういうメタファーを起点に考え始める。
 こんな書き出しで始まるこの投稿では、ビジネスやサービス創造は、旗の下にさまざまなヒト・モノが参集し、都市国家が形成され発展するようなものであるというメタファーが書かれていた。
 新規事業立ち上げの際に通底するイメージとして、多くの人々に読まれ、議論を呼び起こすエントリーとなった。
 ZEPPELINの鳥越康平氏は、SAMSUNGのデザイナーを経て2005年に起業して10年あまり。何千という数のプロジェクトの立ち上げやデジタルサービスのコンサルティング・開発などを手がけながら、常日頃大きく成功するプロジェクトと、そうでないものとの違いを考えていた。
大学で建築とデザインを学んだ後、デザイナーとして最先端の携帯電話を開発しているサムスン電子で活躍、 2005年10月に日本へ帰国。物質的な豊かさだけでなく、人間らしさや美しさに基づく価値を築くためにZEPPELINを設立。 以来、通信、エレクトロニクス、自動車、放送、教育など、グローバル企業のUX構築に従事。 現在、企業ビジョンの策定や新規事業の創造、ブランド価値の伝達、組織改革など幅広い活動を行いデジタルイノベーションを推進している。
 その過程で鳥越氏は一つの結論に至ったという。
「ビジネス・サービス創造において、命運を分けるのは、『旗』とも言うべき強いビジョンの存在である」
 建築やプロダクトデザイン、UX/UI分野にルーツを持つ両氏が「サービス創造の本質」について語り合う中で浮かび上がってきたのは、ビジョンの重要性だった。

宗教的な強度を持つ根本思想が鍵である

鳥越 深津さんがnoteに投稿されたような内容は、私も常日頃から考えていて、読んだときに、とても共感しました。
 サービス創造においては、宗教的なまでの強度を持つ旗、つまりビジョンや思想が必要である、と。
深津 ええ。
鳥越 私たちZEPPELINのクライアントは、ほぼ半分ぐらいが、完全にゼロの状態からふわっとした依頼がくるんですね。
深津 弊社にデジタルイノベーションを、みたいな案件ですね。
鳥越 そうですそうです。もう半分は、既存の事業やサービスがあって、それを大きく変えたいという依頼です。
 そのときにグローバルに普及したり、スケールが大きくなるビジネスとそうでないものがあって、それを分ける一番大きなファクターが「ビジョン」ではないかと。
深津 なるほど。サービスに集う人たちを、荒野に街ができあがるメタファーとして表現したのが、あのnoteでした。

お金という最強の旗をどう塗り替えるか

鳥越 街(サービス)ができるときには、やはり他を圧倒するような世界観が、顧客の期待を引きつけている状態があるかないかですべてが変わりますよね。
 言い換えれば、「根本思想」とでも言いますか。
深津 現状、この世で一番強い旗の一つであり、かつ、世界共通のユニバーサルランゲージって、「お金」なんですよね。
 なので、基本的にはお金と同等か、お金より強い旗を立てておかないと、大体の物事で、お金に殴られたら負けちゃって、他の街にあっさり流れます。
鳥越 お金しか旗がないと、他社のほうが安ければ、もう勝てないですね。
 人類史において、お金が生まれたことは、大きくコミュニケーションのあり方を変えたのだと思います。言わば、お金は最強のインターフェース。だから、それに敵う宗教的なまでの強度の旗を立てないと、すぐに乗り換えられてしまう。
深津 「こういう世の中にしたい」という普遍的なコンセプトですよね。日本のサービスの哲学は、だいたい海外に伝わりません。細かすぎるというか、前提の理解が必要。その辺りはロンドンに留学していた頃に思い知りました(笑)。
鳥越 というと?
深津 僕がいた学校は7割程が留学生で構成されていたので、文化的、生活的背景も根本的に違うという状況で、自分の持っている提案を他の人に評価してもらう必要がありました。すると提案コンセプトが、日本文化の背景思想を含んでいたら、そもそも説明できない。
鳥越 どんな文化、人にも共通して伝わる強度が必要ということですよね。
深津 その結果、細部の調整よりもまず、正しい角度でど真ん中にでかい塊を置くのが一番大事だと感じるようになったんです。異なる土俵にいる人に対して一言で伝わるコミュニケーションをしていかないと、そもそもスタート地点に立てなかったわけで。
──グローバルに通用する旗の事例として具体的に思い浮かぶものはありますか。
鳥越 やっぱりAmazonは強いですよね。「すべての物の流通網を作る」という利便性の旗は、お金と同じぐらい明快。たとえば、この机に飾る花瓶がどうしても明日までに必要だというときに、まず「Amazon」が思い浮かぶこの強さですよね。
深津 デザイン関係なら無印良品はわかりやすいですよね。ビジュアルとコンセプトのストレートさに加えて実用性もある。全部バランスが取れています。

「お金」と同等以上の価値を考える

鳥越 現代のビジネスはグローバル化抜きでは語れません。だから旗というのを、グローバルに通用する明確なものにしておかなきゃいけない。
 最近、よくメルカリの海外進出について考えるんです。というのもメルカリがいろいろ切り開いてくれました。さまざまな場所で、ベンチャーが大きくグロースするため、上場するまでのナレッジや指針を公開していて、非常に勉強になっているんです。事業の作り方、組織の作り方が。
 なので海外進出を応援したいと勝手に思いつつ、アメリカの中でどう戦っていくのか?ということを考えていて。
 で、メルカリはやはり仮説として……
深津 グローバルに通用する旗がない……ですか?
鳥越 まさに。私の妻にメルカリを使っているか聞いたら「使ってる。すごい使いやすい」と。ただ、同じサービスでもっと安いのが出たらどうするかと聞いたら「そっちにする」と(笑)。そうなるともうキリがないんですよね。
深津 お金の旗しかないと、そうなっちゃいますよね。僕も同じような課題意識があって。そこを乗り越えないと、ユーザーや社のメンバーはいずれくら替えしてしまうわけです。経営者にいたっても、「どちらが儲かるか」という価格競争に巻き込まれてしまう。
鳥越 特にグローバルに戦うときは、お金に勝るような明確な思想をまとった旗を立てなきゃいけないなと思っていて。国際市場で通用する思想・ビジョン(旗)は何かを見極めた上で、サービス立ち上げのときにある程度明確にしておかないと、厳しい時代に入っていくのではないかなと思っています。
 メルカリのことが気になりすぎて、実際に、向こうにいる友達に、何人か直接インタビューしたりとか、ネットを通じて50人にリサーチしてみたんです。
深津 相当メルカリが好きですね(笑)。
鳥越 いや、研究も兼ねまして。で、初めの質問は、中古品の話で。メルカリの名前を一切出さずに、「中古品を購入したいですか」「どんな商品を売りたいですか / 買いたいですか」とか、「中古品の売買に関する文化的なことを教えてください」っていうやつで。
 次は、メルカリの話を出して、「メルカリって、使っていますか。使っていませんか」「使っているとしたら、なんでですか。使っていないとしたら、なんでですか」みたいなのと、「アメリカで広まらない理由を、文化的、民俗学的な視点から記述してください」ということをインタビューしました。
 で、わかったのが……
深津 ガレージセールとかの文脈に巻き込まれていそうですね。
鳥越 さすが。まさにそうなんです。

文化のデザインがグローバル進出の鍵

深津 アメリカにはガレージセールという文化があって、その裏に、チャリティの文化があって、その裏に教会の文化があったという。教会、チャリティ、ガレージセールみたいな牙城があって。その文化基盤を、メルカリがどうリデザインするのかがチャレンジなのかなと思います。
鳥越 リサーチの結果でも、5人に1人ぐらいは、中古品の売買を地域で済ませちゃう。中古品を売買し合う文化が既にあるから。土日とかに、みんなで、家の前に出して、売り買いしたりとか、トラックの前に、いくらっていうのを貼っておいて、すぐに電話するみたいな文化がある。
深津 欧米は文化的に長いことチャリティマーケットに親しんでいますからね。日曜に教会で会っている近所の人たちが、「みんなで来週ガレージセールやるからよろしく」とかいっているときに、それをガン無視して新しいサービスで買うって、結構な意思決定が必要ですよね。
鳥越 あの人、最近、全然服出さないなと思ったら、アプリでさばいていたわ、みたいに見えるでしょうね。
 さらに、日本との違いは、Facebook(コミュニケーション市場)、Amazon/eBay(小売市場・物流市場)などの巨人が、中古品売買を既に、ずっとやってきていました。安くて、これまでずっと使ってきたからそっちのほうが慣れ親しんでいるという。
深津 一度使ってみれば、利便性に気づいて、一気に風向きが変わるかもしれないですけど、1回目のハードルがきっと高いでしょうね。
鳥越 メルカリの強みって、スマホファーストなのと、ステップレスなことですから。おそらくそういう状況だと推測します。
 最近メルカリはアメリカでリブランディングをやったんです。そのリブランディングのキーメッセージが、「セリングアップ(The Selling App)」。
深津 お金の話ですよね。内部のデータを知らないから、推測ですけど……価値変容の段階の手前の、メルカリのサービスを認知してもらう段階にそもそも至ってないという判断があったんじゃないかと思うんですけど。なので、まず「何か」を理解してもらうことに全リソースを割ふったというか。
鳥越 そうかもしれません。
深津 それが多分今のメルカリの作戦で。当たりか外れかは、数年経たないとわからないと誰もわからないところだと思います。
 ただ、すごいお金の旗なので、その路線で行くなら「アメリカ大陸で一番安くて儲かるアプリです」っていう価値を体現するしか、選択肢がなくなるのではないかという気もします。かなり修羅の道というか。まあ、メルカリぐらいの規模とお金があれば、全然あり得ると思うので、ありだとは思いますけども。
──お二人がメルカリにいたら、どんな提案をすると思いますか。
鳥越 外からいうのは簡単ですし、大きなお世話なのですが、もし仮に私がメルカリに所属していたら、メルカリの最もコアで強い部分「人から人へ物を行き来させる流通網を構築する」という部分にフォーカスします。
 そして、中古品はもちろんのこと、それこそハンドメイドでもいいし、新品でもいいし、「貪欲にあらゆるものを取り扱う」というような発想でやり、それらの流通を可能にするソフトウェアサービス設計を行います。
 その上で、旗をお金ではなく、グローバルに見て独自で宗教的なものにすることが何よりも重要ではないかと。
深津 「世の中を、こうするんじゃ!」「こっちがいい世の中ですよ」みたいな。それも主婦や学生にも通じる明快さの。
鳥越 そうですそうです。
深津 個人的には、課題の根っこははもう少し深いところにあると思っていて。結局、いまアメリカでメルカリがやっていることって、メルカリがこれまでにやったことのないものだと思っていて。それは、アメリカ進出がということではなく、すでに土壌ができているところに、後発で入って新しい価値を提示するということ。
 日本では、ヤフオクというちょっと違う経済圏に対して、「もっと便利なものがありますよ」とリプレイスの形で提供しました。海外において中古販売をするなら、フリマにしろeBayにしろすでに同系統の基盤がであがっているところに、新しい価値を提示していかなければならなくなっちゃうのかなと。
鳥越 たしかに新しく生まれていたヤフオクの経済圏を足場に、一気に一般ユーザーまで市場を拡大した。でも、アメリカでは、ネット(eBay / Amazon)とリアル(フリマ/ガレージセール)どちらの市場もすでに根付いている。
 そのため今までなかった文化、アプリで中古品を売買すると、eBay / Amazonより楽だし、フリーマーケットやガレージセールより楽しいよっていうのを提示していくのが鍵になる。
深津 海外で今までなかった文化だったり価値を、啓蒙(けいもう)しないといけない。
 シチュエーション的には、キリスト教の大きな町ができている所に、仏教とか、イスラム教が進出するような形だから、結構頑張らないと難しい。応援したいですけどね。
鳥越 いや本当に。もしお金以外の旗で、「あの旗、見たことないね」というものを立てることができれば、もしかしたら、大きく変わるかもしれない、と考えています。

デザインの本質は「構造化」である

──そもそもお二人はデザイナーという出自をお持ちでありながら、経営からテクノロジーまで幅広い分野で活躍されていますね。
 素人目には「デザイン」という言葉から、グラフィックや、プロダクトの外見など、ビジュアルを中心に連想しがちですが、デザインの本質とはなんだと思われますか。
鳥越 確かに“デザイン”に対して“見た目”とか “美”がどうしても同じレイヤーで語られがちですよね。日本では特にそれが顕著。でもデザインとは本来物事の本質的な捉え方のことです。
深津 個人的には、美は結果に過ぎないと思っています。つまり、“美しいもの”が有効なシチュエーションで、人々がそれに対して対価を払うということですね。物事を構造化して考えたときに、最終的に目に見える形で“美”が表出している、ということだと思んです。
 デザインのコアは、端的に言えば「世の中をどう構造化するか」ですよね。
──構造化というと、対象を分解して整理・再構築するようなロジカルシンキングの思考法ですね。
深津 たとえば、対象を構造化してビジュアル的にアウトプットする人がグラフィックデザイナーと呼ばれていたり、機械にアウトプットする人がプロダクトデザイナーと呼ばれていたり。更に言えば、デザイナーという職種ではなくてもデザインをしている人はたくさんいると思います。
鳥越 経営者の場合は経営システムやマネジメントとしてアウトプットされる、ということです。
深津 まさに。なので、デザイナーでなくても、デザイン思考で経営をしている人はいますよね。
──海外では、ジョナサン・アイヴ(Apple社CDO/チーフ・デザイン・オフィサー)などが思い浮かびますが、日本ではまだまだ少ないですよね。お二人の場合は、どういう経緯でデザイナーから経営に携わるようになったのですか。
深津 僕の場合は、大学時代は「都市情報デザイン」といってテクノロジーで生活がどう変わるか、みたいなことを勉強していました。その後ロンドンに留学して、物理的なインターフェースとかデザインをやって、それからWebインタラクション領域に入っていきました。その後、今のTHE GUILDを設立しました。
鳥越 若干、やってきたことが似ているかもしれないですね。私は、大学では建築を1年間、意匠を3年間勉強した後、韓国のSAMSUNGに入社して、モバイル端末や次世代テレビといった先端デバイスを作っていました。
 私のベースは大学で学んだ建築とプロダクトデザインですが、好きな分野は、人と人、人とモノをどうつなぐかといったインターフェースの領域です。当時からインターフェース周りがやりたかったんですが、SAMSUNGでは実現できそうになかったので、だったら自分でやるかと、帰国してZEPPELINを立ち上げました。
 会社としては、10年余り、組織改革のナレッジやプロデューサーの提供、課題の検出、デジタルサービスの新規開発などをいろいろな企業に提供しています。
 ですから、深津さんの「旗の下に都市ができる」という比喩が私のイメージと非常に近いと感じていたんです。

意味と実現可能性を両側から「調和/統合」できるか

──デザインの本質である、構造化という手法で、サービスやビジネスを捉えるアプローチは、非常に有効なわけですね。
鳥越 さらに言えば、構造化したものを、たとえば、人の集まる場所に合わせて調和させることができるか。
──“調和”ですか?
鳥越 設計した構造物が、新鮮さを提供しながらも、周囲の環境や人間の生活にフィットしているというイメージでしょうか。
 私が大学時代に建築を学ぶ中で教わったことは「外から考えろ」ということなんですね。建造物の周辺環境や都市文化、住む人々から考えろと。
 それはあえて奇抜な物を造ることで新しい調和を生むのか、それとも、もとよりその場になじむような建造物を構築するのか。音楽もそうですよね。ハーモニーって調和という意味ですが、一つの曲が人の心を打つのは、細部の要素が全体として一つの調和を生んでいるからだと思います。それは、サービス・ビジネスに当てはめると、人を引き付けるし、結果として利益を出すということだと思うんです。
深津 それは「統合」といってもいいですよね。僕の価値観の基準になっているもので、シンプルなベン図があります。
 左側が“意味”で、右側がビジネス的な“持続可能性”。左側(意味)は、きれいで壮大だけど実現しない話、右側(持続可能性)は、単にお金の話。
 結局、やるべきことは、2つが重複する領域しかない。つまり、世界を両側から観測しないと、そもそも機能する層が見えないというのが、自分の価値観のコアになっています。実際には、この円が3つかもしれないし、4つかもしれませんが、おのおののバランスが取れている状態が、“調和”にも近い話だと思います。
鳥越 日本で「デザイン」というときに陥りがちなのが、みな“意味”の部分だけを見てしまうことですね。
深津 すごくきれいで志が高いんだけど、売れなかったり、使わなかったり、すぐに壊れたり。
鳥越 そう、“持続可能性”という思考が抜けていたりする。逆に、“意味”が欠落していると、事業の目的や、社会的な意義を見失って、「お金」という旗に負けてしまう。昨今日本で「デザイン思考」が重要視されているのは、円の交わる場所を見つけられる人が少ないということの裏返しでもあるのかもしれません。
深津 この概念を実現するのはそんなに難しいことではなくて、観測者を2人置けばいいだけなんです。人間が2人いれば、三角測量のように、それぞれの立ち位置から目標までの適切な距離と大きさを観測することができるはずなんですよ。

サービス創造のよりどころは確固たる“旗”である

──これまでサービス創造におけるデザイン思考の重要性を、さまざまなメタファーを用いて語っていただきました。すべての核といえるのは、グローバルに通用する強い旗の存在ですね。
鳥越 そうですね。やはり、サービスを創るときは、一番初めが一番大事なんです。旗を掲げて、後から変えるという行為は、社内的にも、ものすごく労力がかかってしまうので。
 サービス立ち上げ時に、グローバルに見て、どれだけ独自な思想かを慎重に吟味する必要がある。ただ、日本のサービス創造の現場ではそういったことはまだあまり語られていない。パッと旗を立てて、後から変えられずに難しい局面に入っていくというケースは多いと思います。
深津 そこまでイメージしたほうが後々楽だし、マネジメントもしやすいと思いますね。経営的にもシンプルになって、あらゆるコストが減ると思います。採用ミスによるコストだったり、ユーザーの離脱率も変わってくる。
鳥越 シンプルで普遍的である分、グローバルにスケールもしやすくなる。立てた旗に対して、みなが共感する。そしてその旗が生み出す文化によって、世の中がより良く変わった、という状況を作りたいんですよね。
 それが、私がZEPPELINでやりたいことでもあり、日本の多くの企業の方々に伝えていきたいことなんです。
(編集:中島洋一 構成:吉田直人 撮影:岡村大輔 デザイン:國弘朋佳)