【衝撃】利益相反という商慣習。ニッポンM&A村の不都合な真実

2018/10/12
日本のM&A市場が活況に沸いている。
国内企業同士のM&A案件数はここ数年拡大の一途をたどっており、5年前の1219件(2012年)から、足元では2180件(2017年)とほぼ倍増する熱狂ぶりだ。
もっとも、2017年の「平均案件規模」を見ると、イメージとは異なる風景が見えてくる。件数は増えているが、実は1件当たりの買収額は10億円程度と小規模なのだ。
それもそのはず。高齢化を背景にした中小企業の事業承継や、大企業の小型事業の売却などを中心に拡大しているからだ。
つまり、今やM&Aは大企業同士の“専売特許”ではない。より広く一般化され、巨大な「小型M&Aマーケット」が形成されている。
それだけに、これらの案件を仲介するのは、クロスボーダーのビッグディールを担う従来のプレーヤー、米ゴールドマン・サックスなどの外資系大手や、野村証券などの国内証券大手ではない。
主力は、いわゆる「M&A仲介業者」といわれる、日本独特の専門企業である。
さらに近年は、M&Aに特化した会計事務所などの中小M&Aブティックから、税理士、果ては人材仲介業者などまでが、こぞって参入。
NewsPicksが独自に入手した「M&A国内仲介企業リスト」によれば、その数は、ざっと1000社をゆうに超えるほどだ。
ところが、である。売り手や買い手となる企業やファンドにしてみれば、無秩序に急拡大してきた日本の小型M&A市場には、思わぬ「落とし穴」があるというのだ。
その落とし穴こそ、日本独自の商慣習として根付いてきた、売り手と買い手の両方を同じ業者が仲介するという「両手仲介ビジネス」である。