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注目のコメント
EU離脱支持者が、EU離脱によって、どんないいことがある(もしくはどんな問題が解決するのか)と考えていたのか、が問われるところです。やはり、英国の長期的な衰退、公共サービスの低下が背景としてあるでしょう。そこには、移民、難民の問題があると考えられたのでしょうし、EUから離脱すれば、英国の負担も減る、という発想が広くあったのは確かです。教育や医療、年金といった公共サービスで質的な劣化や負担の増加が起きていたのも確かです。大学にしても、非常に多数の外国人を受け入れるとともに、英国民の階級上昇を助ける手段としては機能しなくなりつつあります。しかし、そういった問題がEUからの離脱で本当に解決するのかどうかは、十分に検証されていたとはいえません。EU、もしくはグローバル化は、その問題は認識されていても、解決法は十分には見出されないまま、悪者扱いされることが多いです。
その一方で、EUからの離脱でどういうマイナス面があるのかは、明らかに十分議論されてこなかったし、周知もされていませんでした。EU離脱を主導した政治家であるボリス・ジョンソン元外務大臣は、EUにこだわるよりも、中国と関係を深めることが英国経済の成長につながる、といった主張をしていました。そういった主張は他のEU諸国でも見られましたが、あまり根拠のある主張とはいえませんでした。
残念ながら、この問題は、政治家も国民全般も予測できていなかった事柄が非常に多く、しかも、あくまで英国の利益しか主張していなかったため、他のEU諸国やEUのユンケル委員長から非常に冷たい扱いを受けることになってしまいました。医療機器ビジネスも英国の認証機関によってEC認証を得ている場合、ブレグジットの方針決定に時間がかかっていることで大きな影響を受けます。
ブレグジット後は、英国の認証機関は「欧州」の認証機関とは認められない可能性が高く、本認証機関も欧州域内の別の国に本社を移転することが求められています。
とりわけ強硬離脱の場合は、認証機関が移転することによるラベル表示の変更(正確には認証機関の番号が変わることによるもの)が必要であり、製造側は短期間の変更を強いられます。加えて、現行ラベル品を販売する場合は、離脱が決定する2019/3までに通関が必要であり、一時的な在庫超過を強いられる企業も多い思います。
いずれにしても、ブレグジットは英国だけの問題を超え、英国に関わる全ての企業に悪影響を及ぼす最悪の判断です。民主主義の弊害として歴史の1ページに刻まれるでしょう。