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ゲノム編集技術のCRISPR/Cas9は有力候補だが、基本的な技術を確立した米カリフォルニア大バークリー校のジェニファー・ダウドナ教授と、それを改良して精度の高い応用法を開発したブロード研究所のフェン・チャン博士との間で、発明者(特許権保有者)を巡る法廷闘争になっているが、米国の特許商標庁は2017年2月にチャン博士に特許権を認め、それを不服としてダウドナ教授が連邦高裁に上訴し、2018年9月に再びチャン博士側が勝利している。これを決着とみなせば、ノーベル財団が選ぶ可能性はあるが、ダウドナ教授側はまだ納得いっていないようなので、ノーベル賞が争いに水を差さないように先送りされるかも知れない。
個人的にはドーパミンニューロンが報酬予測誤差を源になっていることを示したシュルツがそろそろ受賞しないかなと思っています。
物理学賞は、2010年代に入ってからは
2010年 グラフェン【物性】
2011年 宇宙加速膨張【宇宙物理】
2012年 量子光学計測技術【物性】
2013年 ヒッグス粒子発見【素粒子】
2014年 青色ダイオード【物性】
2015年 ニュートリノ振動【素粒子】
2016年 トポロジカル相転移【物性】
2017年 重力波観測【宇宙物理】
と、「物性系」と「素粒子・宇宙物理系」を交互に選んでいるようにみえる。過去はこんなことは無かったので、これを公平と呼ぶべきかどうかはわからないが、もしこれが正しいと今年は「物性系」の年。
そうなるとまた悩ましい。「ワイル粒子」や「マヨナラ粒子」「スキルミオン」の発見など、目覚ましい発見がある一方で、これらは既に受賞済みの「トポロジカル相転移」としてカテゴリされるかも知れない。
あるいは、ベルの不等式の破れを示したアスペや、不確定性原理を拡張した小澤、熱効率とスピードのトレードオフを理論的に示した田崎等、物理か化学か(生理学か数学かはたまた機械学習か)わからないが、生体内化学反応の揺らぎなどについて情報幾何学的に熱力学的不確定性原理を示した伊藤等、面白いのがまだ目白押し(なんだかんだ自分もつい日本人の研究をみる機会に偏っていると反省)。
宇宙だったら、AdS/CFT対応を示したマルダセナ。