【川谷絵音】 「天才」は真似できるのか

2018/10/2
10月20日に公開される映画「ごっこ」の主題歌を担当する川谷絵音。「ゲスの極み乙女。」「indigo la End」など複数のバンドを掛け持ち、月に何十曲と生み出す異能のアーティストが、スキャンダルを経て、復活の狼煙を上げようとしている。「サビの天才」の創作の源泉とは何なのか? 音楽ビジネスの未来像から自分自身との向き合い方まで、赤裸々に語ったインタビューをお届けする。
音楽を始めたきっかけは「復讐」
――まず、そもそもミュージシャンを志したきっかけとは何だったのでしょうか。
川谷 小学生の頃からJポップを聴きまくっていて、ある瞬間に「あ、自分は音楽で何かを成し遂げられる人間なんじゃないか」というよくわからない確信が生まれたんです。
そのとき音楽やってなかったし根拠なんかないですよ。でも、僕はずっと「自分は周りの奴らとは違う」と思って生きてきたんです。
大学に入るまでバンドを組むという感覚すらなかった。不良をやったり、バンドを組んでたりして、調子に乗ってる人たちが一番嫌いだったから。
小中高と楽しかった記憶はひとつもないですね。大学に入っても。
今でも友達と言える存在は、今もバンドを組んでる(休日)課長くらい。彼以外とはほとんど交流がありません。
よく学生時代が人生の最高潮で、高校のサッカー部の時の写真をSNSのアイコンやヘッダーにしてる人とかいるじゃないですか。ほんと意味がわからなくて。
そう思い返すと、結局、復讐なのかもしれませんね、一番のきっかけって。
学生時代に僕を虐げてきた人たちへの復讐。ただ、それだけのことなんだと思う。紅白に出るまで、ずっとその気持ちは持っていました。
――今も復讐は続いている?
川谷 紅白に出るくらいまで行くと、チヤホヤしてくる人間が増えるわけじゃないですか。それがすべて2016年には手のひら返し。
散々同級生や仕事仲間、友達だと思っていた人にも餌にされました。当たり前ですけどね。
でも、それで一周回って、今はすごく純粋に楽しめてますね。好きなことやって、好きな人としか絡まないようにしていると、「そういえば、昔はそんな人たちもいたな」と、どうでも良くなってくる。
今、老若男女、良い意味でも悪い意味でも僕のことをたくさんの人が知ってる。だから、誰とでも話に行ける。ただのミュージシャンだったら「誰?」となってたようなシチュエーションでも、普通に飲みに行ける。
その点、交友関係を広げるのが割と楽になりましたね。仕事も音楽だけじゃなくて俳優をやったり文章を書いたり、幅が出てきて、今が一番忙しいくらい。
――ある意味、スキャンダルは悪くなかった?