【新】閲覧履歴に頼らない、新しい「レコメンド機能」の仕組み

2018/10/1
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第157回(全5回)は、「TSUTAYA AI」開発チームの大畠崇央氏、阿部望、内田尚氏が登場する。
TSUTAYA AI」とは、AI(人工知能)がユーザーの嗜好に合った映画をお薦めするレコメンドサービスで、8月30日にリリースされた。
このサービスがこれまでのレコメンドと異なるのは、AIが解析するのが顧客の閲覧・購入履歴ではなく、ツイッターに投稿された短文であることだ。
TSUTAYAはTカードという膨大なデータを持っていながら、なぜツイッターを解析するのか。そして、ユーザーが何気なく投稿したツイートやリツイートから、どのような仕組みで興味をそそられるレコメンド作品をはじき出すのか。
このAIシステムは、開発した阿部氏と内田氏がTSUTAYAが主催するスタートアップ支援プログラムに応募したことがきっかけで実現したもの。開発を志した理由を聞くと、意外にも個人的な挫折が出発点だという。
AIによるレコメンドという、新しいビジネスに懸ける思いをたっぷりと聞いた──。

ツイッター投稿からレコメンド

──本特集ではTSUTAYAが今年8月30日にリリースした、ユーザーのツイッターでの投稿履歴をAIが分析し、各人に合った映画をレコメンドする新サービス「TSUTAYA AI」の開発秘話を聞いていきます。
そもそも、どのような経緯で始まったプロジェクトなのでしょうか?
大畠 当社には「T-VENTURE PROGRAM」というスタートアップ企業の支援プログラムがあります。
これは、CCCグループが持つアセットと、スタートアップ企業の技術やサービスをかけ合わせ、顧客価値が高いビジネスを生み出すことを目的としています。
このプログラムの第3期の最終審査に残ったのが、今回「TSUTAYA AI」を開発した阿部と内田です。惜しくも受賞は逃したのですが、AIを駆使した映画との最適な出会いを生み出すレコメンドのサービスという提案をしてくれました。