激化する米中貿易戦争。中国が再考を迫られる対アメリカ姿勢

2018/9/29

様変わりした米中関係

時は1979年。ワシントンの総合文化施設ケネディ・センターで、握った手を高く掲げる人民服姿の中国の指導者と、タキシード姿のアメリカ大統領──。
オーケストラがミュージカル『王様と私』の曲「知れば知るほど(Getting to Know You)」を演奏するなか、鄧小平とジミー・カーターが見せた笑顔は、中国とアメリカの友情と協力という新たな時代の幕開けを告げていた。
それから約40年にわたって、米中は世界で最も重要な経済関係を作り上げ、地域安全保障や対テロ活動、気候変動対策といった課題に一緒に取り組んできた。
鄧の姿勢を踏襲した中国は「弟分」の役を演じた。常に恭順とは限らなくても、少なくとも自らの野望を抑えて、自国よりはるかに強大なアメリカとの対立を避けようとしてきたのだ。
だが今や、米中双方の大方の予想よりも早く、両国の関係は様変わりしている。
米政権は9月24日、中国からの2000億ドル相当の輸入品に関税を上乗せする追加制裁措置を発動した。エスカレートする一方の米中貿易戦争において、これまでで最大の措置だ。
この決定は、中国市場へのアクセスと引き換えに米企業にテクノロジー提供を迫り、自国企業に補助金を出す中国の経済モデルと戦う上で不可欠の行動だと、ドナルド・トランプ大統領は主張する。