「飲酒に安全な量はない」は本当か?

2018/10/12

大規模な研究結果が発表された

先日、英医学誌ランセットに飲酒のメリットと危険性についての決定的な研究と称する論文が掲載された。一見するとアルコールを楽しむ人々にとって好ましいものではなく、メディアでも「アルコールに安全な摂取量はない」といった見出しで報じられた。
だが実際は、さほど目新しいものではなく、非常に慎重な内容だ。
(写真:iStock/skodonnell)
今回の研究は、アルコールの主要研究の大半がそうであるように、新しい実験を行っていない点に留意することが大切だ。多数の観察研究のメタ分析、つまりデータを統合したものだ。
アルコールに関連する23の健康上の問題について飲酒のリスクを推定するために実施された、おそらくこれまでで最大規模のメタ分析だ。
研究者はまた、世界のアルコールの消費量について正確な予測をするためおよそ700の研究資料を統合。全データを数理モデルに取り込み、世界的なアルコール摂取の有害性を予測した。
結果、全体として1日当たりの摂取量が多くなるごとに有害性は増し、摂取量がゼロだと最も低かった。そのため、前述したようなニュースの見出しが躍ったのだ。
しかし、この研究には配慮すべき限界がある。観察データは非常に交絡している可能性があり、つまり測定されていない要因が害を引き起こす本当の原因かもしれないのだ。