この連載について
起業家イーロン・マスクが率いるテスラが燃えている。最新の電気自動車「モデル3」の量産での苦戦が伝えられて以来、株式非公開化での迷走や、マスクの奇行まで、ゴシップばかりが伝えられている。一体、テスラの裏で何が起きているのか。NewsPicks編集部が、総力取材で、その真の実態をお届けする。
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Founded in 2003 and based in Palo Alto, California, Tesla is a vertically integrated sustainable energy company that also aims to transition the world to electric mobility by making electric vehicles.
業種
電気自動車
時価総額
78.0 兆円
業績
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量産の目処がついてきたと言われた4月に、実際のところどうなんだろう?とモデル3の予約を自分で新規に入れ、顧客とのコミュニケーションを見てみました。その時世間はまだ大いに疑いの声でした。結局わずか3ヶ月後の7月に拍子抜けするほど早く私のモデル3は届きました。
ここには少しトリックがあって、当初モデル3は「お手頃価格」として量産価格で登場しました。しかしテスラは早期に予約をいれた$35,000普及モデルの顧客は後回しに、Model 3 Performance というこの時新たなシリーズとして出てきたバッテリー容量もモーターもガッツリ積んだモデルの生産出荷を優先し届けています。現在でもこれならなんと新規オーダーから1、2ヶ月程度で届きます(値段は倍します)。
利益率はおそらく高いでしょうし、価格コンシャスではないユーザにモデルSを超えるハイパフォーマンスを早期に提供し、モデル3の大絶賛口コミや記事を連発させ(たしかに凄くいい)、イーロンのツイッターでも「Model 3 Performance は最高だ。超絶オススメする」と度々プッシュ。それをフラッグシップに普及帯のモデル3を売っていくという作戦に完全に切り替えています。
今やモデル3の製品ポジショニングも「お手頃(affordable)」とは決して言わず、店頭の販売員にも徹底させ「長距離モデルと言え(longer range)」と。今は当初誇大広告のような$35,000は標準リストから消え去り、巷では「現実には存在しない商品」と揶揄されています。デフォルトでバッテリー大容量モデルからとなり(あたかも大容量以外存在しないかのように)、もし最安値の当初宣伝のモデル3が欲しければ相変わらず1年くらい待ってね、という潔い変わりよう。
つまり現在注文を受け付けているのはバッテリー容量が当初の約1.5倍となり、さらにもともと予約した人を追い越して大容量モデルを出荷しますから、皆1年待つよりも納期が比較にならないほど早い大容量バッテリー買うわけです。
ということで台数の割には、当初より大量にバッテリーが必要なんです。
NewsPicks編集部は、日米で、ギガファクトリーに出入りするテスラ関係者や共同出資者であるパナソニック幹部ら約10人に総力取材をかけ、まだ知られてないその最先端の内情をレポートしています。
電池工場なんて普段は程遠い存在かもしれませんが、ここで発生しているダイナミックな拮抗は、次の電気自動車の未来を見据える上でも、注目しておいて損はありません。
だからこそ、誰も乗り越えたことのないEVの量産という地獄にどっぷりつかったストレスは、われわれ常人には想像すら難しいのかもしれません。ここ最近のイーロンの常軌を逸した言動を巡る報道は数多くありますが、NewsPicksでは、まずは量産地獄の全貌ついて独自のファクトを集め、その実態に迫りました。
果たして内部で何が起きていたのか。第一回は、誰も知らない「テスラ・インサイド」について独占スクープをお届けします。
ギガファクトリのボトルネックがテスラ側からパナソニック側に代わっている、と。まあすぐにまた逆転すると思いますが、とてもスリリングな稿でした。
Model 3の話ではないが、Teslaが電池容量に冗長性を持たせていることは知られている。そしてソフトで制御しており、ハリケーンの際には一時的に開放した(下記)。コスト的には上乗せになるが、一方で電池寿命伸びる(負荷が少なくなったり、劣化したセルを隔離できる)という効果もあると考えられ、中古価格にも効いてくると思う。
https://newspicks.com/news/2928479
ちなみに現在の生産台数については、Bloombergが車両登録台数から推測している下記がある。
一時5000台/週を越えて6000台/週にまでなったが9月になってからは3500台/週くらいと推測している。
https://newspicks.com/news/2831156
<追記終>
ギガファクトリー開始時には組み立てサイドにボトルネックがあったが、それが逆転していたとは。
一方で、その背景が気になる。5000台/週まではパナは上手くいっていてTeslaは上手くいっていなかった。そこで量を同期させるために、投資を先延ばしにしたのか、それとも次のラインが何らかの理由で上手く立ち上がっていないのか。
前者であれば、逆に自社が上手くいかなかったときにサプライヤーとどういう関係を築いていくかは当たり前だが重要で、Teslaは明確に当初計画通り進んでいなかったなかで投資計画を進めろと言われても、現実には難しかった部分もあったのではないかと個人的には思うのだが…
あと、山田氏については①はパナ時代のインタビューで、マスク氏が日本での発表会でもバイネームで触れた直後のもの。②はTeslaへの移籍の際の記事。
①https://newspicks.com/news/640500
②https://newspicks.com/news/2682374
しばらくはテスラの好調な予約販売分を消化していくフェーズであることはわかるのですが、問題は今後テスラ モデル3の売れ行きがどうなっていくか。30-40万台とも言われる予約分の次は次モデルのSUVという展開になるにせよ、この好調がいつまで続くのか。
パナソニックからすれば、売れる分には嬉しい悲鳴なわけで、そういう意味ではこの記事は生産地獄の片面だけを映した記事ですね。貴重な内容ですが、フリーモントサイドの問題も是非フォーカスしてほしい。
あと、馬場さんのコメントが面白い。販売戦略の変更によるものなわけね。35000ドルモデル予約した人たちがみんな解約してたとしたら、台数かなり減ってませんかね?
追記
あと、パナソニックの中の人を雇ってしまうというのは戦略上は全然ありなわけですが、キーマンを引き止められなかったパナソニックは反省、というか制度設計の変更が必要だろう。
やはり、根本的に電池の生産は「量産効果が小さい」ので、事業としては苦しい、という私の印象は変わりませんが。