【堀江貴文×大室正志】働き方によって、寿命に格差

2018/10/9

健康保険でお寿司が安くなる

寺田 堀江貴文さん著、予防医療普及協会監修の『健康の結論』発売記念イベントの第1部では、モテクリエイターのゆうこすさん、産婦人科医の稲葉可奈子先生をゲストに、予防医療や子宮頸がんについて語り合っていただきました。
第2部では、産業医の大室正志先生をお迎えして、人生100年時代の働き方やメンタルヘルスについて伺っていきたいと思います。大室先生、よろしくお願いいたします。
堀江 大室先生には、『健康の結論』の第1章「働き方のアップデート法」の取材にご協力いただきました。今日もそんな話をしていければと思っています。
大室 はい、よろしくお願いいたします。
その前に、第1部のゆうこすさんとのお話を聞いていて、ゆうこすさんが“健康保険証を持っているのかどうかわからない疑惑”が飛び出して、衝撃を受けました(笑)。
それに関連してちょっとお話をしますと、僕は今、産業医として仕事をしています。企業では従業員が50人を超えると、産業医を選任する決まりになっているんですよね。
大室正志(おおむろ・まさし)/医医療法人社団同友会・産業保健部門 産業医
産業医科大学医学部医学科卒業。専門は産業医学実務。ジョンソン・エンド・ジョンソン統括産業医を経て、現職。メンタルヘルス対策、インフルエンザ対策、生活習慣病対策など企業における健康リスク低減に従事。現在日系大手企業、約30社の産業医業務に従事 。社会医学系専門医・指導医。著書に「産業医が見る過労自殺企業の内側」がある。
それで、企業と契約をするときはまず、その会社の健康保険証を見るんです。例えば、堀江さんが第1部でお話しされていたように、中小企業の場合は全国健康保険協会が運営する健康保険、通称「協会けんぽ」に加入しています。この前身は、国の社会保険庁が運営していた政府管掌健康保険ですね。
それから、大手企業の場合は健康保険組合、通称「組合健保」といって、自社が設立した健康保険組合や、業界の企業や団体などが共同で設立した健康保険組合が運営する 健康保険に加入しています。
例えば、IT業界には、サイバーエージェントさんなど多数のIT系企業が加入している関東ITソフトウェア健康保険組合があります。
堀江 関東IT健保はいいですよね。
大室 関東IT健保はめちゃくちゃいいんですよ。低い保険料率で、提携している施設の高額なサービスが安価で利用できるなど付帯サービスが充実しています。
堀江 赤坂の健保会館のビルに寿司屋がありますよね。
大室 ありますね。普通に食べたら1万円はするような寿司が、関東IT健保に加入していると、3000円くらいで食べられるというような。
寺田 健康保険でお寿司が安く食べられるんですか?
大室 そうなんです。簡単に言うと、中小企業向けの協会けんぽがオリコカードだとすると、関東IT健保はアメリカン・エキスプレスみたいな感じです。
つまり付帯サービスが全く違うんですよ。それも、会費は安いアメックス。組合員の平均月収が高く、平均年齢が若い(病気になりにくい)と関東IT健保のような、プラチナ保険証になります。
寺田 なるほど、わかりやすいです。
大室 そういう感じで、組合健保にもいろいろあるんですね。例えば、ほかの組合健保だと、一般の人が受けたら8万円くらいかかる人間ドックが、無料で受けられるところもあります。
寺田 同じ健保組合でも、違いがあるんですね。

医療格差は情報格差

大室 それで、第1部で堀江さんが少しお話しされていましたけど、健保組合はそれぞれで運営されているので、情報があまり共有されていないんですよ。
ちょっと思い出しましたけど、僕が産業医大の学生だった頃に、ある企業の健保組合の幹部と話をしたとき衝撃を受けた話がありました。