(ブルームバーグ): 安倍晋三首相は14日、自民党総裁選に向けた日本記者クラブ主催の公開討論会で、日本銀行の異次元緩和について「ずっとやっていいとは全く思っていない」と述べた上で、自らの在任中に出口戦略への道筋をつけたい考えを示した。具体的な時期や手法は「黒田東彦総裁に任せている」と語った。

安倍首相は日銀の金融政策について「いつ、この緩和についてどう判断するかということはマクロ政策として黒田さんが判断する」と強調。「どのように緩和を終えていくかについて今、どうこう申し上げれば直ちに市場が反応する」と述べた。

異次元緩和の出口について自らの任期中にどう道筋をつけるのかとの質問に対し、4-6月期の実質国内総生産(GDP)が年率3%に達したことなどを挙げ、「非常にいい形で経済も成長してきている中において、私の任期のうちにやり遂げたい」と話した。20日の総裁選で再選された場合の任期は2021年9月までの3年間。

政府・日銀が掲げる2%の物価安定目標に関しては「一つの指標として目指していくが、目的は実体経済、つまり雇用をよくしていくということ」とも発言。アベノミクスで雇用は改善し、「まっとうな経済を作り出すことができた」とも語った。

ドル・円相場は安倍首相の発言を受け、一時111円79銭まで円買いが進行。午後4時55分現在は111円83銭前後で推移している。

一方、文書改ざんなど財務省で不祥事が相次いだ後も、麻生太郎財務相を交代させなかった理由として「アベノミクスという政策を二人三脚で進めてきた」ことを挙げ、「しっかりと経済政策を進めていく上において麻生さんと乗り切っていこうと決意した」と語った。来年10月からの消費増税については「予定通り引き上げていきたい」と言明。軽減税率の導入もあり、経済への「マクロ的衝撃は少ない」と述べた。

共同通信が7、8両日に党員・党友を対象に実施した電話調査によると、安倍首相に投票するが61%、石破氏は28.6%だった。首相は国会議員票でも405票のうち約340票を集める見通しで3選が濃厚と共同は報じている。7日に告示された総裁選は19日が党員投票の締め切り、20日に国会議員による投票と全体の開票が行われる。

(安倍首相の発言を追加します.)

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