【未来予測】植物科学×テクノロジーの農業新時代が来る

2018/9/16

拡大するスマート農業

1960年代、農業の世界で「緑の革命」が起きた。これは急激な人口増加に対して、高収量の品種の種を開発し、化学肥料と農薬で大量生産するという動きを指す。
この革命によって、1960年代前半から40年で穀物の1ヘクタール当たりの収量が倍以上に伸びた。
 緑の革命から半世紀が経った今、農業界には新しい変化の波が起きている。テクノロジーを導入して、人間の労働力や判断に依存していた従来型の農業をスマート化しようという流れだ。
わかりやすい事例は、これまで人間が重装備して散布していた農薬を、ドローンによる散布に切り替えること。耕作機器や環境制御も自動化が進んでいる。
このようなスマート農業は今後トレンドになるとみられており、富士経済は日本の市場規模が2017年の47億円から2025年には123億円に伸びると予想している。
スマート化の目的は、他の産業と変わらない。作業の効率化や生産性の向上だ。
特集『「農業のアップデート」が日本の食を進化させる』でも触れたが、日本の農業は生産コストが高く、生産性が低い。高齢化や農業従事者の減少という難題も抱えている日本で、テクノロジーはこの状況を改善することが期待されている。
『「農業のアップデート」が日本の食を進化させる』(7/18配信より)

IT業界をけん引した男

現在のように農業のスマート化がブームになるずっと前、2009年にIT業界から農家に転身したひとりの男がいる。小池聡。この名前を聞いて、ぴんと来る読者もいるだろう。
IT業界に身を置いたことがある人、業界に詳しい人にとっては、「ビットバレー構想の中心人物のひとり」としての印象が強いはずだ。
小池聡(こいけさとし)1959年生まれ。中央大学商学部卒。アメリカ、日本でのIT事業を経て2010年東大EMP発ベンチャーとしてベジタリア株式会社を設立。