求人数は2015年以降、倍増

シリコンバレーやウォール街など、各地で人工知能(AI)や機械学習に精通する労働力を求める動きが急増している。しかし人材が限られているため、雇う側は必死になっている。そしてそういう必死さを感じ取った能力ある求職者たちは、自分たちのスキルに高い値段をつけている。
求人情報サイト「Indeed」によると、職務内容に「人工知能(AI)」や「機械学習」と書かれた求人の数は2015年以降、倍増している。
求職者たちも、これまでにも増してそのような職を探し求めている。過去3年間で「AI」や「機械学習」に関する仕事の検索数は182%増加している。
しかし、求人に関する検索が増えても、資格がある人材が増えるとは限らない。業界は、十分なスキルを持った人間を見つけようと必死だ。
Indeedのようなオープンなプラットフォームでは、高額な給料が提示されている。だがそれも、AI関連の仕事において直接あるいはヘッドハンターを通して提示される多額のボーナスやストックオプション付きの高い給料と比較すると、色あせてしまうかもしれない。
Indeedで製品担当上級副社長を務めるラジ・ムカジーは「AIの開発や採用は、さまざまな業界で増え続けているため、AI関連の才能を求めて、おそらくさらに多くの競争が起きるだろう」と語る。
「これは、AI関連のスキルを持つ人材を見つけようとしている雇用者にとっては、頭の痛い話かもしれない。こうした仕事では、自然言語処理や機械学習、データサイエンスの分野に経験がある高度に熟練した人材が求められている」

AI分野で働くならニューヨーク

Indeedは、2015年6月~2018年6月までに米国で公に募集された数百万件にのぼる求人データを解析した。レポートでは、オンライン求人の20%以上において、職務内容に「AI」あるいは「機械学習」と書かれている職種を割り出し、給料や勤務地に関する情報を得た。
その結果、AI分野で働こうとしているなら、ニューヨークに狙いを定めるのが良いことがわかった。一都市圏におけるAIと機械学習に関する求人は、驚くべきことにサンフランシスコではなくニューヨークが最も高い割合となっており、米国全体の11%以上を占めている。
求人情報検索サイトを運営するGlassdoorの最近のレポートによると、テクノロジーセクターは過去4年間で毎年、全米で最も高い給料を提示している。
アップル、アマゾン、アルファベット、フェイスブック、ウーバー・テクノロジーズなどの企業は、機械学習に通じた高い技術を持つ人材に昔からかなりの額を支払ってきた。
『ブルームバーグ・ビジネスウィーク』誌では、これらの有名企業は30万ドル(約3340万円)を超える給料やストック・オプションを提示できると明かしている。
現在、金融やヘルスケアなどのほかの産業では、AIに詳しい人材を得ようと高額の給与小切手をばらまいている。企業各社は、資格のある限られた人材の中から何とか人を引きつけようと、おしなべて6桁の給料を支払っているという。

ディレクター職なら平均14万ドル超

Indeedのレポートによると2018年は、AIと機械学習に関する仕事の中では、解析を行う仕事のディレクター職の平均給料が最も高く、14万837ドル(約1570万円)だった。平均の給料は、給料に関する情報を明確に載せている何万件もの公開された求人情報を分析して算出したものだ。
公開された求人の中では、主任サイエンティスト、機械学習エンジニア、コンピュータビジョン・エンジニア、データサイエンティストの給料も負けず劣らず高く、平均給料は13万ドル(約1450万円)を優に上回っている。
そして、これらの仕事の給料はニューヨークやシリコンバレーでなら、さらに最高3万ドル(約330万円)上乗せされる。
Indeedの計算には、ボーナスやストックオプション、歩合などは含まれていない。これらを含めれば、年俸は劇的に跳ね上がる可能性がある。
Indeedのムカジーは「この業界は、需要と供給の不均衡をなくすために工夫を凝らす必要がある。これまでとは違う経歴を持つ人材を採用したり、彼らを実地で訓練したりするのも1つの方法だ」と述べる。
「企業が今後もAIソリューションを取り入れたり、独自の技術を開発したりするのであれば、AIや機械学習のスキルに対する需要は、おそらく増え続けるだろう」
原文はこちら(英語)。
(執筆:Riley Griffin記者、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真・図表:©2018 Bloomberg L.P)
©2018 Bloomberg L.P
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.